バーボン×ポッキー
コンビニで見つけた季節限定のポッキーを美味しそうだと思っていたら、気づいたらレジに持っていっていた。無意識って怖い。コンビニから出て車に戻ると、待っていたバーボンが私の手にあるポッキーの箱を見て「飲み物を買うんじゃなかったのか」と小首をかしげた。私だってそのつもりだったのに、気づいたら飲み物のコーナーより手前にあるお菓子コーナーに行っていたのだ。
振り返って店内を見ればレジには列ができている。時間が押しているし、それにもう一度あの列に並ぶのは疲れるから嫌だ。
「そのつもりだったんだけどね。気づいたらポッキー買ってたの」
苦笑したバーボンも、ちらりと店内を見た。諦めてどこか適当な自販機で買うとしようかな。
「待たせたのにごめんね」
「それはいいけど、喉が乾いたんじゃなかったのか?」
「あとで自販機で買うから大丈夫」
シートベルトを締めると、ゆっくりと車が発進した。コンビニを出るときの段差の振動がダイレクトにおしりに伝わる。バーボンの車はすごく乗り心地が悪い。前にそれをベルモットに愚痴ると「あれはスポーツカーだからよ」と言われた。私は車には詳しくないから、スポーツカーがどうして乗り心地が悪いのかいまいちわからなかった。バネがどうのと言っていた気がする。
ゴツゴツした振動を感じながら車に揺られ、何度目かの信号で止まったときに、バーボンが「食べないのか」と聞いてきた。私の手の中のポッキーは未開封のまま。
「うん。あとで食べるの。……珍しいって顔してるね! 私だってすぐに食べないときだってあるよ!」
「それは知ってるけど、食べたくて買ったのに食べないなんて珍しいだろう?」
「たしかに」
失礼なと思ったけれど、バーボンの言うとおりだ。
「向こうに着いたらポッキーゲームでもする?」
何とはなしに言ってみると、バーボンが勢いよくむせた。
危ない、と思ったけれどハンドルは安定していて安心した。まさかここまで反応すると思わなかった。気を付けないと。
バーボンは数度咳き込んでから「ポッキーゲームなんてどこで知ったんだ!」と気まずそうに聞いてきた。
やばい。また無意識だった。ポッキーゲームなんて幼い子どもが言う単語じゃなかった。どうしようと頭を働かせて、どうにか「この前テレビでやってた」と答えた。絞り出した言い訳がこれだなんて、リボーンにバレたらまた怒られる。今が遠い日本での任務中でよかった。
そんな私の心中なんて知らずに、バーボンはすんなりと「テレビか」と納得してくれた。
「いいか、ナマエ」
「なに?」
「ポッキーゲームをしようなんて簡単に言っちゃだめだ。特に男には絶対に言うんじゃない」
「……うん。わかった」
「ならいい」
喜んで子どもとポッキーゲームをする大人なんてロリコンだからバーボンが真剣な表情で諭すのもしかたがない。余計な心配をさせてしまったと少しだけ反省した。
運転するバーボンはまっすぐ前を見ていて姿勢もきれい。そんなバーボンだからポッキーゲームなんてしたことがなさそうだし、子どもにもやらせるなんてもってのほかだろう。季節限定パッケージの箱を触りながら、心からバーボンにこの組織はは似合わないと思った。
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「バーボン×ポッキー」のリクエストありがとうございました!
大変遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。