ハイスコア

夢主 首引高校二年生、苦労人、年中育児疲れ、素材はいいが磨く暇がない
きょうだい 狂気の六歳児と狂人の二十代(職業:ホスト)
両親 新婚旅行で事件に巻き込まれて歳をとらなくなったらしい。

「好きです! 俺と結婚前提で付き合ってください!」
「――ごめんなさい、いまは育児で手一杯なので……」

 私の手を両手で包み込むように握りながら、男の子が言った。知らない男の子だった。ぐらぐら揺れる視界のなか、私はぽろぽろとなにかを口走って――そしてそれをすっぽり忘れた。


 弁当を食べながら、さる数日前を思い返す。あの時の私は頭がどうかしていた。朝から甘えたな弟の相手をしてへとへとになりながら登校し、睡魔と闘いながら昼休みまで耐えぬいて、一口二口ご飯を口に入れ、そのまま睡魔に襲われて爆睡。ぐっすり眠っていた私は、寝起きで回らない頭のまま応対してしまったのだ。

 寝起きでうつらうつらとするなか、教室の中であるにも関わらず告白してきてくれた勇気ある人に私はそんな返事をして……意識が飛んだ。
 
 目を覚ますと五限の授業は終わり、私の左手の薬指に何故か赤い糸がぐるぐる巻かれていた。ので取って捨てた。誰のいたずらだろう? 不思議なことも起きるものだ。明瞭になった頭のなかで、何かあったような――と思いながら、伸びをしてパキパキと鳴る背をほぐす。
 今日の夕飯、どうしようかな。私の頭の中は夕飯の献立を考えはじめ、昼のことなどすっかりどこかへ消え去っていた。


「あ、あ、嵐士が告白した――!?」
「誰よ相手は!! あの嵐士から告白した女はどこの馬の骨なのよ!」
「隣のクラスの女子。アイツにしては珍しく清楚系の子だった」
「見たの泉水ちゃん?!」
「ついてきてくれって頼まれたんだよ。でも断られてたぞ、相手寝起きだったし」
「「断ったァ!?」」
 めぐみとかおりが同時に叫ぶ。泉水はうるさいと顔をしかめ、ふいと視線をそらした。
「別に、誰だっていいだろ。嵐士が好きになった奴なら」
「そういう問題じゃないし! 騙されてんじゃないの?!」
「お前どんだけ嵐士疑ってんだよ! 言っておくけどなあ、アイツ告白した時結婚前提でって言ってたし! 寝落ちた相手の左手の薬指にどっから出したのかわっかんねえ赤い糸ぐるぐる巻きにして周りの男牽制してたからな! 断られてるくせに彼氏ヅラしてたからな!!!」
「「マジで!?」」
 再び叫んだめぐみとかおり、そして話を聞いていたえみかや京介までもギョッとした顔をして泉水を見る。
「ウソでしょ泉水ちゃん……」
「嘘だったらこんな嘘つかんわ! 双子の兄貴の凶行見てこっちは心が荒んでんだよ、糸ぐるぐる巻きにしてた時の顔を思い出すだけで頭がいてぇんだよ!」
 もうオレに聞くな! 本人に訊け!


「……あのー、私、羽柴くんにその……断ったよね?」
「うん! でも好きでいるのがだめとは言わなかったよね?」
「いやあの、言わなかったけども」
「じゃあ大丈夫だね!」
「いや、あの」「ねっ!!!」

「――そ、そうだね……」

言葉の圧に負けた。悔しい。

「おーねーえーちゃーーー!!!」
「――っ?! お、おかえり……」
「ただいま! おねえちゃんすき!」

「いい子の妹にはおにいちゃんがおぜぜねじ込んであげようね*」
「パンツにねじ込むな、ちょっ、いやー!!!」

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