いもーと


「あ〜? あおちゃんの体ますます悪くなったのっていつだ?」
「間違いなくゴリラ兄貴と大喧嘩したときでしょ」
「ブチ切れてたもんねえ、あんなやつ男でもなければ人間以下のクソ野郎だって散々言ってたし」
「あと理事長んとこに殴り込み行ってたしな」
「あの時はみどっちゃんも一緒に行ってたなあ。付き添いで千鳥とほとりがついて」
「あれ付き添いっつうか奴等のことボロクソに詰りたい殺意高い面子集めただけやんけ」
「絶対殺すという強い意思を感じたね」
「殺意も殺意、よくあのジジイ殺さなかったな、ってかんじ」
「殺す価値も無いってことでしょー。あの後言ってたじゃん、今まで自分が揉み消してきた不祥事暴かれて世間に叩かれて逃げ場を無くして報いを受けて惨めったらしくくたばれって」
「あおちゃん、キセキの世代の件怒ってたもんなあ。力もて余して大人のケアが必要不可欠な子供にろくすっぽメンタルケアもしねえで散々客寄せパンダみたいに使いやがってふざけんじゃねえぞ、って」
「生徒をなんだと思ってんだって怒ってたねえ、みどっちゃんも泣いてたし」
「あー、お兄さんに水ぶっかけてキレたって言ってたねえ。こんな畜生のようなことをするなら、バスケなんてやってほしくなかったって……高潔なお兄さんのこと好きだったから、なおのことショックだったんだねえ……」

 色々と衝撃の事実が暴露されている。後輩たちの闇が深いどころの話ではなかった。
 悲壮な顔をした緑間、持っていたまいう棒を落とした紫原、硬直した赤司、俯いた青峰、静かに顔を覆う黒子、そして話を振った黄瀬に至っては冷や汗が止まらない状態である。

「あおちゃん、あの時もう体相当弱ってきてたし、殴った自分が骨折ってたら話になんないよね」
「脆いどころかそろそろ日常に支障来すレベルだよあれ。歩くだけでしんどい日もあるらしいし」
「翌々日ぼろぼろのあおちゃん見たときのショーゴくん、呆然とした顔してたね」
「あたしあの顔まだ写真に残してあるよ」「マジか! 後で見せて」

 青峰の妹が不治の病に罹っていると知ったのはつい先日のことだ。兄である青峰には伏せられてきた事実、それは彼のメンタルに影響を及ぼすには最適のもので、伏せてほしいと願った妹はそれを見通していたに違いない。それとも、これも復讐なのだろうか。頭の切れる妹が数年越しに兄に投げつけた爆弾。だとすれば、それのなんと虚しく悲しいことか。
 二人はもう、兄弟というには溝が出来すぎていた。



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