美少年
・夢主
気づいたら転生してた元パンピ。
母親美人だし家はお金持ちっぽくて面倒くさそうだけどうまく行けば将来は高等遊民だ〜〜〜やった〜! と思ってルンルンのベビーライフを送ってたら実は家は斜陽を迎えてるわ心労で母親は儚くなるなど幼子に対し容赦ないヘビーな人生に内心白目剥いた元成人女性。
そして気づけば大人の都合の婚約者ができており「ハーーーン?」となりながら従うしかなかった幼女。相手が脂ぎった不潔な醜男とかじゃなきゃ何でもいっか〜〜〜! と割り切って会わされたのがやたら発声のハキハキした美少年で背後に宇宙を背負った。
そんな川池湖滝ポジに転生したパンピ女ののんびりスローライフ〜ダイジェスト版〜
見た目はほぼ原作通り(遺伝要素なので)なんだけど決定的に違うところは別に美少年探偵団にも関わろうとしないし婚約関係にも無気力なところ。口もたまに悪態つくと男っぽくなるだけなので見た目は無害な座敷童子という感じ。
ただ中身が中身なので精神年齢的におこちゃまたちと戯れるのはキツく、友達はクラスメイトの女の子が一人だけ。そう。「一人だけ」いるのである。友達ーーというか「そういう目」で見ている女の子が一人。
もともと「異性」というものへ渇望もなく性的な興味もあんまり無いという曖昧模糊、フラットな状態で転生したのもあって、なんか気づいたら両刀になっていた。
入学して運命の出会いを果たし、肉体年齢七歳にして百合の花を開花させ、八つ年上の婚約者そっちのけでただ一人の友達と学び舎で睦み合うバラ色の日々。
しかしそれも長くは続かない。心を開いた彼女もまた、自分と同じように家の都合でいずれ誰かと結婚する運命なのだから。そしてその前に「準備期間」として彼女は此処を去らねばならないという。
刹那の間としても、ただ「自分」が居たという傷をこの子に残してやりたいーー中身は元とはいえ大人の汚れたハートなのでその欲求はまあまあヤバいのだが、考えが肉体年齢に引っ張られており差し引きはゼロだったりする。
「いつかさよならの日が来たら、その日から私が結婚する日まで髪を伸ばして欲しい。そして私が結婚した後、どうか切り捨てて。私への思いごと、あなたの重りとなったそれを」「……仕方ねぇな。今回だけだ――後にも先にも、わたくしが心を寄せる女は、お前だけ――」
みたいな会話をする女児。二人とも環境ゆえに大人びてる。
婚約者の咲口長広に対しては「いや別に……なんか……好かれてもおらんのに関わってもな……それにまだ中学生っしょ? こんなロリなんてロリコンでもない限り勃たねえだろうし……家の事情とはいえ可哀想に……」くらいの気持ちなので、長広が思ってるよりまあまあ心の距離がある。
長広の方は大人の都合で親が勝手に決めた、哀れな立場の幼く可憐な許嫁と認識しているものの、それはそれとして触れ合いは必要だろうと接点を持とうとするが遠慮する夢主に「もしかして嫌われてる?」と首を傾げている。
違います、そいつ中身はアンタよりだいぶ大人です。
正直お人形感が強いというか、ぶっちゃけちょっと取っ付きづらいし友達いなさそうだなぁ〜とか失礼なことを思っていたら、偶然訪れた初等部の校舎の片隅で百合の花咲かせる許嫁に衝撃を受ける。その無邪気な姿と自分には一切見せない屈託のない笑顔に「おや……」となる。
家同士の取り付けた政略的な許嫁なのは変わらないし、自分が十八になるまでに立て直してくれればお役御免な婚約関係ではあるものの、その現場を見てから探偵団の面々からの揶揄の返事のキレがちょっと変わってきて探偵団の皆も「エッ」てなっててほしい。
しかしまあ、世界の収束力というものはあるようで。
夏合宿の件は初等部内にて足音を消して歩く夢主を見かけた学が話しかけてこようとしたところ、「うっかり足を滑らせ(原作通り)」、それを見た夢主が咄嗟に手を掴んだけど小さい体でどうにかできるわけもなく。一緒に落下してちょっと頭がくらくらすることに。
後ほどめちゃめちゃ詫びられるし婚約者もやたら見舞いに来るけど本人は「アッ大丈夫ですので」と割と塩対応。
ただ一人、愛する女の子が来た時だけ喜色満面になる姿に探偵団の面々も「可愛い顔してエグ……」くらいのことは思ったかもしれない。
後にマユミが夢主と友人の姿を見つけ、「もしかして――」と小さな百合の花に気づく感じ。
婚約者の采配によって一応マユミとも「オトモダチ」という形で関係を持つことになる。
そして美少年シリーズの「原作軸」が終了し、しばらく。
愛する人と別れて髪を伸ばしはじめた夢主。元々長髪だった婚約者に手入れ方法とかを訊いたりして、心の距離がほんの少し縮んだ頃。
「実は、貴女に伝えなければならないことがあります」と切り出される夢主(小学校高学年くらい?)。
実家も持ち直してるっぽいし、もしかして婚約破棄か? と思ったら婚姻確定のお知らせでまた背後に宇宙を背負う。
数年の間に距離が縮んだことと、長広の方で「少女」から「女」へと変貌していく夢主の姿に気づいたら目で追っていて――みたいなことがあったかもしれない。
原作と違って「どこまでも親の決めた婚約者でしかない」わけではなく、「親の決めた婚約者ではあるが、そこに自分自身の意思も入り込んだ」のがこの世界線。
もう少し時間が経って、夢主は中学生、長広が大学生くらいになった頃、体にそぐわぬ大人びた姿に「まるで大人の女性のようだ」とか言われて面倒くさそうに「さぁ? 三つ子の魂百までといいますし。ヘビーな人生だったから前世の記憶でも持ち越したんじゃあないのかしら」って適当にあやす姿が見れるかもしれない。
見た目は旦那の方が年上だけどその実精神は嫁のが年上だというふしぎな夫妻の爆誕。
元成人女性からしたらどこまで立派だろうが中学生は所詮中学生なので。