女子日がしんどくて宿屋で1人お留守番してたけど、無性に寂しさを覚えた夢主の元に、ザビーダがやってきて看病と称して抱きしめてもらっていたところにパーティが戻ってきてざわついたあとの話。


「で?実の所どうなの?」
「どうなのって何が」
「ナマエさんは、ザビーダさんのような方がお好みなのかと皆さん気になっているんですよ」
「もしそうなら相当趣味が悪いけど」
「エドナ、さすがにそれは言い過ぎ……」
「あら、やけに肩を持つのね?」
「そういうわけじゃないけど……皆が思ってるより紳士よ。現にほら、私何もされてないし」
「わかんないよ〜?油断させてパクッといっちゃうかも!」
「ないない。だって天族の皆から見たら私なんてまだまだ子供でしょ?手を出そうと思う?」
「そんなことないですわ。アリアさんは立派な女性だと思います」
「あはは、ありがと」
「女なら誰でもいいかもしれないじゃない」
「確かに女好きの軽薄な男性って感じだけど。うーんなんていうか、そう見せてるって思えちゃうんだよね。実際接してみると気のいいお兄ちゃんって雰囲気だったし。たぶん向こうも妹みたいな感じだと思う。っていうか、あの時は本当に具合悪くてついやらかした愚行だから、いい加減忘れてほしい……」
「頼る相手を間違えてるのよ。何、ワタシ達じゃ不満だったの」
「だって私1人のために皆を引き止めるわけにもいかないじゃない……しかも、いい歳した大人がさぁ」
「そんなことないって!ナマエもたまには肩の力抜いたっていいんだよ、大人でいようとしないでさ」
「そうですわ。私達だってナマエさんに頼ってほしいですもの」
「ワタシは気が向いたら相手してあげるわ」
「……ありがとう、ちょっと気張りすぎてたのかもね」
「うんうん!で、結局ナマエの好みって?スレイ?ミクリオ?意外とデゼル?」
「ネタ引っ張るんかーい」
「元はと言えばそれが聞きたかったですしね」
「ほら、観念して吐きなさい(ドスッドスッ)」
「分かったから傘でどつくのやめて……。
うーんそうねぇ……スレイとミクリオは無邪気な弟とちょっと背伸びしてる弟って感じで放っておけない感はあるよね。会話には混ざれないけど、2人の遺跡話聞いてると面白いしすごいなーって思う。でも異性としてって言われるとその『弟』って認識が変わらない限りないかな」
「ふんふん」
「デゼルはあまり自分をさらけ出さないけど、意外と料理が得意だったり博識だったり、動物に好かれる人だしギャップにぐっとくるよね。でも拭いきれない苦労人感がすごくて、異性というより同僚かな……週末にお疲れってお酒飲みながら話す気の合う友人の方がしっくりくるかなって」
「見事なまでのアウトオブ眼中って言い方ね」
「そこまで言ってないし、むしろ外見で言ったら3人ともイケメンの部類よ?でも隣に並ぶなら私よりライラたちの方が絵になるなって」
「ナマエさんはご自身に自信をもっていいと思うのですが」
「何?新手のギャグ?? 」
「……ああ!自身と自信!私としたことが〜」
「はいはい、ライラのサムイギャグは置いといて。あたしもそんな気にすることないと思うよ。ナマエって内面からいい女オーラ出てるしね」
「ワタシには敵わないけどね」
「……お褒めいただき光栄デス。3人の納得いく答えは返せないんだけど、好きになったら外見も関係ないと思うのよね。だから私は『好きになった人が好みのタイプ』ってことで」
「うわ〜一番面白くない答え!」
「でも、ナマエさんらしい答えですわ」
「詭弁ね」
「待って擁護してくれるのがライラしかいないんだけど」
「こういうときはさくっと好きな人言えばいいのよ」
「いやそれ役目的にも無理があるよ……一応、私も家族は持てないんだから」
「えっ御子ってそうなんだ?」
「うん、だから自分の中で特別な人って作らないようにしてるんだ。報われない想い抱えるって穢れに繋がりそうだから」
「ナマエさん、」
「まぁ恋愛するためにここにいるわけじゃないしね。今は世界をどうにかしないと!」
「……そうね。あーあ、時間の無駄だったわ。ナマエ、罰としてワタシの肩を揉みなさい」
「ええええそんな理不尽な!」

「……スレイが聞いたらなんて思うのかな」
「……こればかりは、なんとも言えませんわね」
「というか、ナマエって気付いてないの?スレイ、あんなに分かりやすいのに」
「むしろ分かりやすすぎて慕ってくれている程度の認識なのかもしれませんわ。ナマエさん自身も『弟みたい』って言ってましたし」
「なんというか、見てるこっちがもやもやしちゃうなー」
「見てる分には楽しいんですけれどね。ただ、お2人が穢れるとなれば別なのですが」
「その時はあたしがやるから大丈夫。しっかり見守っておこうよ」
「そうですわね」

(了)