「おい」

ドンドンッと大き目のノックと供にリヴァイは私の私室に入ってくる。

「どうしたの?ってか、返事聞いてから入ってってば…」
「…何してる」
「荷造り。明日実家帰るから」

私は私室のテーブルに大きめの鞄を開いて荷造りをしていた。

「休暇の間は実家に帰ってるからね」
「あぁ」
「リヴァイはどうするの?」
「どうもしねぇ」
「…どこか行くとかしないの?」
「しないな」
「ふ〜ん…。リヴァイも家来る?」
「あ?」

私の部屋をその目つきの悪い目でチェックしながら、多分ちゃんと掃除出来ているかのチェックをしている、私が聞いてみると眉間に皺が寄った。

「何で俺がお前の家に行かなきゃなんねぇ」
「ん〜…相棒として、とか」
「断る」
「エルヴィン団長も来るよ」
「…何故だ」
「父上と兄上に会いに」
「…そうか」

ざっと部屋のチェックが終わると今度は窓の方を見る、掃除はちゃんとしてるって。
窓の近くにある本棚に目を向けるとおい。と私を呼んだ。

「何?」
「飾ったのか」
「うん」

本棚は上と下の数段に本を置いて真ん中は小物を置く場所として使っている。
そこに最近仲間入りした、リヴァイがくれたスノードーム。

「悪くない」
「自分で選んだんでしょ」
「そうだ…」
「?どうしたの?」

他に飾られている小物を何となしに見ていたのだろう、突然リヴァイの口が止まった。

「おい、これは何だ」
「どれ?」
「これだ」

鞄に荷物を詰めながら目を向けるとリヴァイは髪飾りを手に持っていた。

「それ?前話したやつ、団長からのプレゼントだよ」
「…これが、か」
「うん」
「色合いが気に入らねぇ」
「は?」

色合い?その綺麗な色が?

「お前、貰って何も思わなかったのか」
「???…綺麗な色だなぁって思った」

リヴァイが何を言いたいかさっぱりな私は頭にクエスチョンマークを沢山浮かべて聞いた。

「金細工に青色のガラス…見てるだけで奴を思い出す」
「誰?」
「エルヴィンだ」

私は荷造りの手を止めて改めて頂いた髪飾りを凝視した。
確かにエルヴィン団長の金色の髪と青色の瞳は団長の顔で特徴的な部分だ。
でも、その色が同じってだけで。

「…どうしてその色合い気に入らないの」
「お前、分かってねぇな」

はっ。と鼻で笑われた、この上から目線男め。

「奴の所有欲丸出しじゃねぇか」
「しょ、所有欲…!?」

何を言うかと思えば、私はギョッとした。

「そんな訳無いでしょ。何を言い出すの」
「…そう思っているのはお前だけだ」
「意味が分かりませんっ」

リヴァイから髪飾りを取り上げて木箱に戻す。
隣に置いていた蓋を閉めて鞄に詰めた。

「…持って行くのか」
「うん」
「置いて行け」
「そうはいかないよ。付けるって団長に言っちゃったもの」
「これを持って行け」

そう言って私の前に差し出したのはリヴァイがプレゼントしてくれたスノードーム。

「ダメだよ、ガラスだよ?割れちゃったら大変」
「割れねぇ」

問答になりそうなので私は腕を組んでリヴァイを見る。

「…ねぇ、リヴァイ」
「何だ」
「これも一種の所有欲じゃないの」
「あ?」
「団長の髪飾りは置いて行けって言うのに、自分があげたスノードームは持って行けって言うんだ」

私が言うとリヴァイは表情を変えずスノードームを元に戻した、図星か。

「そんなにヤキモチやかないでリヴァイ君〜。私の相棒は君だけだ…うわっ!」

ちょっと揶揄い気味に言うとリヴァイの蹴りが足に飛んできた。
慌てて避ける、危ない、今のは当たってたら絶対痛いやつ。

「直ぐ足出す癖止めてよ!」
「てめぇが下らねぇことぬかすからだ」
「正論じゃない」

リヴァイの目がカーテンに向けられる。
そこでピタリと止まった。

「…おい」
「今度は何ですか〜?」
「カーテンを最後に洗濯したのはいつだ」

私の荷造りの手も止まる。

「いつ…だったかな。そんなに前じゃないよ」
「…今日は良い天気だな」

展開がマズいぞ。

「私っ、荷造り終わったら馬舎の掃除しなきゃ!」
「その前に洗濯だ」

リヴァイの揺るぎない決定が私に言い渡される。
そんなに汚れてはいない気がするけど、ここで反論してもことが悪い方向へ向かうだけ。
知ってる、それなりの月日相棒やってるから、良く知ってる。

「…分かったわよ」

大人しく従った方が早く終わる。

「素直だな」
「反論しても論破出来る自信無い」
「分かれば良い。荷造り終わったらカーテン外して洗い場に来い」
「まさか…洗い方まで口出しする気…?」
「当たり前だ。俺が直々に指導してやる」
「良い相棒を持って幸せだな〜」
「そりゃ良かった。次からは発言に感情を込めろ」
「はいはい」

結局、家に帰る前日はリヴァイによる直々の洗濯方法の指導で半日が終わってしまった。



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