教えてお姉さん



一人暮らしのこの部屋に、男の子が来るのは久しぶりだ。プチ断捨離もして部屋もスッキリさせたし、うん、大丈夫なはず。一度深呼吸して、家の鍵を開けた。

「いらっしゃい、狭いけど」
『へえ〜……名前ちゃんの部屋、こんなんなんや』
「予想と違った?」
『なんかええ匂いする……』
「ルームフレングランスかなぁ」
『る……、ん?へ、へえ』

ああ、大吾くんわかってないやつだ、とくすくす笑って、座ってもらったローテーブルにマグカップを二つ置く。友達が来たとき用だから可愛いけど気にしないで欲しい。どこか緊張してる大吾くんはそんなことを気にしている余裕もないのか、すぐに口をつけて熱いと目を丸くしている。

「ごめんね、熱かったかな?」
『いやっ大丈夫、やで?』
「そう?」

隣に肩を寄せて座って、テレビのリモコンを操作する。今日の名目はロードショーを一緒に観る、だから。そのあとお泊まりなのは既定路線だと思うし、実際大吾くんの荷物が多いのはそういうこと、だろうし。

腕を絡めてもたれかかって、CMになるたびに密着して。エンドロールを見終わる前に大吾くんが電源を消したと同時に口付けて……、口付けて、

「んっ……、大吾くん…?」
『その……、俺、名前ちゃんに言うてないことがあって、』

キスから先に進まないことを不思議に思っていると、深刻な面持ちの大吾くんがいる。このタイミングでなんだろう?と続きを促すと気まずそうに目を逸らされる。
私なんかしたっけ。心当たりがないんだけど。
『実は……、俺、初めてなんやけど』
「へっ?」

思わず変な声が出てしまった。
大吾くんは年下だけど、彼女はいたような素振りがあった…というかデートだってエスコートしてくれていたし、キスもスキンシップもがっつくような感じではなかったのに…?

『やっぱヒく……、やんな?』
「まさか、そんなことないよ。勝手に経験ありそうな気がしてただけで」
『やっぱそう見えるん…?』
「だって大吾くんかっこいいからモテてそうだし。でも別にひいたりとかしないよ」
『……ほんまに?』
「うん、私が初めてでいいのかなって思うけど」

わたし初めてじゃないし……は無粋だから黙っておくけれど。
むしろちょっと…嬉しい、かも。

『名前ちゃんがええなぁ、っておもて』
「ふふ、ありがと」

ちゅ、と口付けて、「ベッド、いこっか?」と囁くと、赤い顔をして頷いてきた。
軋むベッドの上で、口付けを繰り返す。こうしていると少しぎこちない気もするけれど、好きな人のキスなら気にならないんだな、というのは新たな発見。
お互いの唾液が混ざってきたころ唇が離れていって、

『服…、脱がしてもええ?』
「ん、いいよ」

脱がせるの、簡単な服にしておいてよかった。綺麗な指先でブラウスのボタンが一つずつはずされて、素肌がさらけ出される。ブラが見えるとごくりと生唾を飲み込まれる音がした。
『……、えっと……、外しても……、』
「うん、どうぞ?」

ブラウスを脱いで背中を向ける。ホックが外されたのを感じ取ると正面に向き直って、するりと脱がされるのを待つ。恥ずかしいからちょっと隠したいところだけど……、見られるがままにしておく。

「触っていいよ」
『お、おん、』

恐る恐る伸ばされる手。ぬいぐるみでも触るみたいな動きで、少しくすぐったくて笑ってしまう。

『あっ……、その、なんか変やった?』
「ううん、ちょっとくすぐったかったから。
 でも大丈夫だよ。痛かったら言うから、大吾くんの好きなように触って?」

教える、のはまた今度。手つきが新鮮で、表情は好奇心と欲が半々で……、きっと今日しか見られないだろうから。
ぎこちない手つきでも触られ続けると少し良く感じられるようになって、だんだん先端が立ち上がってきた。
それを見つけた大吾くんは、つん、とそこに触れる。

「んっ……、」
『ここ、気持ちいいん?』
「うん、きもちい、よ。ね、舐めてみて……?」

こう?と首を傾げながらも、大吾くんは舌先で先端を舐める。ざらりとした感覚に、小さく声が漏れる。それにつられるように何度も舐められて、思わず腰が揺れた。

『名前ちゃん、腰揺れとる、けど』
「んっ、気持ちよかった、から……、」
『気持ちよくなってくれたん?』

きゅるんとした瞳で見つめられて、うん、と頷くと大吾くんは嬉しそうに笑った。
手がスカートのジッパーに伸びて、するすると下ろされる。そうして、纏っているものは下着一枚になって……、大吾くんもつられるように下着姿になった。隠しきれないほど膨らんだそこに、視線が向かないわけがなくて。

「もうそんな大きくなったの?」
『名前ちゃんの触っとったら……、も、こんなんなっとって、』
「触っても、いい?」
『え、その……、触ってほしい、です』

戸惑いののち、遠慮がちに頷いた大吾くんの下着に手をかけて脱がせると、すぐに真上に跳ねるように出てきたそれ。手に取っただけで、大吾くんの腰が揺れた。とろとろ出ている先走りを手につけて、上下にしごく。時々先端に触れると声が漏れて、なんか可愛い。じゃあ咥えたらどんな声出してくれるんだろう?ちょっとした好奇心で、唐突に先端を咥えた。
『……っ、ま、って、名前ちゃ、』
「んー?」
『そこ、あかんねんって……、あっ、』
「ひもひよはほーひゃん?」

気持ちよさそうじゃん、と笑うと、口の中に広がるしょっぱい先走り。温かい、どころじゃなく熱くなっているそこは、裏筋を舐めるだけでびくびくとしている。あかん、なんて言いながらも声は気持ちよさそうで、根元を触りながら何度か下から上へと舐め、先端を吸った時。

『あっ、も、あかん、離れ、イく、』

余裕のない、うわずった声に、私を気遣ってか遠ざけようとする手。けれどそれは間に合わず、吐き出された欲は私の口の中に溢れ、ごくりと飲み込んだ。
見上げると、口の中に出したことによる焦りと、隠しきれない征服欲。
『も、イってもた……、てか、飲んだ…、ん?』
「のんじゃった。……特別だよ?」
『っ、な、なんか……、それだけでまた、たってきそ、』

その言葉通り、さっき口の中にたっぷり吐き出されたというのに、また硬くなっているそこ。
回復が速いのは初めてだからか、それとも大吾くんがそう、なのか。

『名前ちゃん、』
「どうしたの?」
『ごめんけど、もう挿れたくて……、な、あかん?』


さっき出したのが呼び水になったのだろうか、もう元気になったそこを前にして、首を横に振ることなんてできなかった。

いいよ、と頷くと、大吾くんは自分の荷物の中から新品の箱を取り出した。ちゃんと準備しているのが彼らしい。
戻ってくると箱を開けて、一つ取り出す。表裏を何度も見比べているので、一緒に確認して、そっとつけてやると……、
さっきよりも熱い、気がする。

『名前ちゃん、ごめ、どこ……?』

下着を脱がされて押し倒され、そこに当てられるも、ぬるりと滑る先端。焦りと緊張でわからなくなっているんだろう。

「ここだよ、ゆっくり、ね?」

先端に手を添えて、自分の中に誘導する。胸しか触られてない上に久しぶりで、慣らされていないそこはスムーズに入った、とは言い難いけれど。大吾くんは私が言ったとおりゆっくりと挿れてくれるから、なんとか入っていく。あ、でも舐めただけでちょっと興奮してたのかも、なんて思っていると、大吾くんが熱く息を吐いた。 

『やばっ……、名前ちゃんの中、やば、』
「んっ……、ふふ、きもちいい?」
『気持ちい、っ、あかん、動く、な?』

余裕のない表情を浮かべて、大吾くんは腰を動かしはじめる。多分そういう動画の見よう見まねで、まだ気持ちいい、なんてならないけれど……、夢中で私を求める姿にきゅんとする。それに、本能のままに動いているようで、私が痛くならないようには気を遣っている。そこが、私が好きになった大吾くんだなぁって、幸せな気持ちになる。

『名前ちゃんっ……、ごめ、』
「ど、したの?」
『気持ち良すぎ、てっ……、またイきそ』
「いいんだよ、我慢しなくて。ほら、ね?」
『も、あっ……、あかんって、あっ……、』

動きが止まって、大吾くんが息を切らしている。その姿が色っぽくて、頬に手を伸ばすと軽く口付けた。

『ごめ、また先イってもた』
「ん?いいのに」
『……俺やって、名前ちゃんのこと気持ちよくしたいんに』

しょぼんとしょげ返る姿はなんだかわんこみたいでかわいい。初めてなんだから気にしなくていいのに…、と思うのだけれど、大吾くんは気になるんだろう。
私も物足りないのはそうだけど。後処理で大吾くんのそれを拭いていると、またしても膨らんでくるそこ。

「ねえ、今度は私、好きに動きたくなっちゃった、いい?」
『っ、ぁ、名前ちゃ、』
「それとも、もうおしまいにする?」

すりすりと手でこすると、むくむくと大きくなるそれ。そんなので終われるわけないよね。ぶんぶんと首を横に振る大吾くんに、箱から取り出した膜を再びかぶせていって、

「壁、もたれかかって座れる?」
『……えと、こう?よな?』
「うん、そのままの姿勢でいてね」
『え、あ、名前ちゃん……?っ、』

大吾くんに跨って、ゆっくり腰を下ろしていく。全部咥え込んで最奥に当てると、小さく息を吐く。圧迫感が気持ちいい、ずっとこうしていたいくらいに。

「んっ……、全部入っちゃったね」
『名前ちゃん……?』
「あ、重いかな、ごめんね?」
『や、重くなんかないねんけど、』

大吾くんの肩に手を回して密着する。近くなった顔にちゅっと口付けて笑うと、大吾くんの顔がまた赤くなった。

「こうしてると……っ、ぴったりくっついてるって感じで、気持ち良くない?」
『[V:8212][V:8212]っ、きもち、い、』

2回も出してるからか、まだまだ保ちそうな硬さ。ゆっくりと大吾くんに馴染んでいく感じが気持ちいい。
しばらくそうして、自分が我慢できなくなったところでそっと動き始める。

「……っ、ぁ、いい……っ、」
『あっ……、っ、は、』

滑りの足りなかった中も、好きなところに当たるように動かせば少しずつ潤んでいく。水音がきこえるようになって、そろそろいいかな、とちょこっとスピードを上げた。
『あっ、ちょ、名前ちゃ、ん、』
「んっ……、ど、したの、」
『や、きもち、くて、』
「ふふ、もっと気持ちよく、なろ?」

今まで気づかなかったけど、実は私、ちょっとSなんだろうか……、なんて考えたり。腰を動かすごとに、気持ちよさに顔を歪ませるのが可愛いな、って。
自分のいいところを刺激するように腰を動かして、時々口付けて。時折漏れる大吾くんの声に、お腹の奥がきゅんとする。

流石に2回も出してるからか今までよりも保っているけれど、でもそろそろなのかな?って気がするし、そろそろ私も……なんて思って、動くスピードをはやめていく。
大吾くんにしがみつくように抱きついて、腰を振って……、
好きなところに当て、ぎゅうと大吾くんのものを締め付けると、それをつられるように欲が吐き出される感覚がした。

やばい、ちょっと調子乗ったかも……、とシャワーを終えて、少しクリアになった頃…頭を抱える。そういうことするのが久しぶりだったのもある、し……ああもう、初めてがこんなのって引かれないかな……帰りたい、あっここ自分の部屋だった。

うじうじとシーツに丸まっていると、後ろからシャワーを終えた大吾くんがつついてくる。目が見られない、今まで年上お姉さん〜って余裕ぶってたのに。うう。

『名前ちゃん〜なにしとるん』
「……その、えー……、ひいてない……?」
『なにが?』
「いや、その……」
『言うたやん?俺、初めてやって。やから他と比べてとかはわからんし。でも一個わかったんやけど』

おそるおそる大吾くんの方を見る。数時間前の戸惑いとか余裕のなさとかが抜けて、どこか楽しそうな表情。

「な、なに?」
『名前ちゃん、えっち好きやろ?……目ぇ逸らしてもあかんて』
「もうひとおもいにころして…」
『おねーさんー、逃げんといてって』

逃げようとした私を、捕まえた、って抱きしめる大吾くん。動きを封じられて、諦めて彼の方を見る。

『あんな、この歳の男がな、えっちすきなお姉さん嫌いなわけないやん』
「……いや、知らないけど」
『名前ちゃん明日も休みやろ?』
「え、うん、そうだよ…?」

じりじり。追い詰められてるうさぎみたいな気分。

『いろんなこと、教えて欲しいなぁて』
「……いろんな、こと、」
『名前ちゃんの好きなところ、とか』

せっかく着たルームウェアが脱がされていく。さっきまでのぎこちない手つき、どこ?初めて詐欺?
ってまって、今日やるの、ねえ、

「まって」
『えー、無理、思い出したらまたこうなってもうた』

ちらりと見えたそこ、もしかして絶り……いや、そんなまさか?

『おさめ方わからんから、教えてなおねーさんっ』

ここぞとばかりに年下ぶる大吾くん。発言がそういうことじゃなければ普段の大吾くんみたいな甘え方ではあるけど、もしかして目覚めさせたの私ですか?やっちまった。
はたして今日は寝られるんだろうか、と思う。
数時間前の私へ、なんか思ってたのと違う夜になりそうです。






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