獪岳が甘党だったら可愛いなという妄想。
某星の冠を被った女性のロゴマークのお店。
赤と緑で彩られた店内はなんだかいつもよりわくわくする。彼女がいない身としてはクリスマス撲滅推奨なのだがこのときめきには抗えない。
「あ、善逸君。」
「どーも名前さん」
「…チッ」
「アンタは俺に会う度舌打ちしないと死ぬ病気にでも罹ってんの?」
「うるせえな。」
人懐こい笑みを浮かべる名前と正反対に嫌悪感丸出しの義兄にため息が出る。
「善逸君もクリスマス限定の買いに来たの?」
「そうなんですよ!炭治郎達も誘ったんですけど断られて。」
あー、男の子は好き嫌い分かれるかー、とのほほんとしてる名前の後ろからの圧。少しは隠そうとしないもんかね。そう思いつつも獪岳との付き合いの長い善逸はスルースキルも上がり獪岳からの圧力を難なくかわして会話を続ける。
「あ、順番だね。一緒に頼もうか。」
「はい、限定のヤツで冷たいのでいいですか?」
「うん。」
「獪岳は?」
「俺は……」
「すみません、ホワイトチョコレートフラペチーノ二つと、カプチーノ一つ。どちらもトールでお願いします。」
「え!?」
名前は獪岳が答えるのを遮って勝手にオーダーしてしまった。意外と獪岳よりも名前の方が主導権を握っているのか。驚愕な事実に思わずドキドキしてしまう。
暫し待つとこれまたクリスマスを意識した容器に入った飲み物。先程の事で喉が渇いてしまって善逸は勢いよくストローを啜る。甘い生クリームとホワイトチョコ、後からほろ苦い抹茶がシャリシャリとした氷と一緒に口に入って幸福な気持ちになる。うん、甘いものは世界を救う。
前方のカップルに視線をやれば、名前は口を付けたかと思うフラペチーノを獪岳に差し出した。
「思ったより抹茶がキツいから交換して。」
「………ん。」
文句も言わず獪岳はカプチーノを名前に渡す。またも意外な光景に善逸は目を丸くする。自分で勝手に選んだ挙句、気に入らないからと交換するだなんて、大人しそうな見た目なのにわがままな所があるんだな。こういうギャップが好きなのかと獪岳に視線をやれば何やら嬉しそうな音がする。そして思い出した。桃やら甘いものが顔に似合わず好んでいたことを。
つまり始めからフラペチーノを獪岳が所望していて、俺がいるから口に出せないのを察して自分のものとして頼んで交換したという事だ。
ご満悦な獪岳ににこにこと笑みを浮かべる名前。
「ああぁあああーーーっ!他所でやってくれませんかね、バカップル!!」
***
スイーツ男子って可愛いと思うんですよ。