※ちょいフルバパロ。パロと言っても大した事ない。
設定はあなたは幸せですか?の前世時代。
フルバを知らなくても読めます。
立ち寄った蝶屋敷に見知った姿を見とめて、獪岳は足を止めた。
暦の上ではまだ冬だというのに今日は春のように暖かい。だからだろうか、日当たりのいい縁側で日向ぼっこでもしているか名前は腰を掛けたまま動かない。時折俯いた頭がうつらうつらと揺れる様が危なっかしい。
あいつは隠居の老人か?と獪岳は一人ごちた。
「あれ、見ろよ。」
背後で隊士が話す声が聞こえる。『あれ』とは名前の事だろう。盗み聞きをする趣味はないが勝手に聞こえてくるのだから仕方ない。
話しかけられたもう一人の隊士がどれだと覗く。
「ああ、あれか。鬼喰いだな。」
「あいつさ、意外と可愛いくないか?」
「前髪上げてる時は可愛いかもな。」
「だろ?大人しそうだし、何でも言う事聞きそうだろう。」
彼らの会話に何故か無性に不快な気分になっていく。
「はは、溜まってるのか?」
「まあ、そんなとこ。話し掛けて、」
ガンッと何かがぶつかる音に名前はびくりと体を跳ねさせた。何事かと顔を上げると近くの柱に拳を叩きつけてどこかを睨みつけている友人の姿があった。
「獪岳?」
何をしているのかと言外に込めて彼の名を呼べばこちらにもギロリと殺気だった視線を送る。
「え?私何かしました?」
「ボケっとしてんじゃねえよ。」
「あいた。」
先程の殺気はなりを納めたものの、少し苛ついた様子で名前の頭を叩く。
「鬼がいる訳でもないのに、なぜ?」
「…変な虫がつくぞ。」
「虫は嫌だけれど。」
更に何故虫の話になったのか謎であるが、あんまりなぜなぜ聞くと短気な彼に怒られるのは明白である。ここら辺で納得しよう。
どかりと横に腰掛けた獪岳は再び他所を見ながら呟く。
「まあ、俺がいる時はいくらでもぼーっとしててもいいけどよ。」
虫を払ってくれるのだろうか。よく分からないので首を傾げるしかない。
「言っとくが、妙な意味じゃねえからな。」
「…ええと、妙とは?」
視線を戻して睨み付けてそう言った獪岳に、怒られるかもしれないがまた疑問を投げ掛ければ、彼も押し黙る。
「獪岳?少し顔が赤いけど大丈夫ですか?」
「喧しい。」
「あいたー。」
俺がまるで好きで守ってるみてえじゃねえか。
獪岳は誤魔化すように名前をもう一度叩くのであった。
「何あいつ、めちゃくちゃ睨んできて超怖かったんだけど。」
「獪岳だよ。鬼喰いのお気に入り。」
「殺気もヤバい。仲間なのに殺されるかと思った…」
「牽制の仕方えげつない。」
***
フルバの夾君がモブに牽制する所が好きなんじゃー。