宝物を見つけた日
時計の針が深夜0時を過ぎ、空には星が瞬いている頃。
真っ暗な部屋の中タイピングの音が小さくこもり、パソコンの光が女を微かに照らす。女は暫く目で画面に映る文字を追っていたが、疲れたのか目を閉じて長く息を吐きながら背もたれに背を預けた。ギィッという音を立てながらパソコンの画面端にある時刻を見ると、作業を始めてから軽く5時間は経っている。

「んー……甘いものでも食べて休憩しようかな」

冷蔵庫の中にあるチョコレートを思い出しながら、デスクに頬杖をついてマウスを操作する。しかしその手が突然ピタリと止まった。彼女の目はある一点を見つめ、そこから動かない。

「ま、…っ、これって………」

たった一枚の写真が貼られ、そこに釘付けになる女。暫く息をすることも忘れて見入ってしまったが、やっと肩の力を抜いて写真の下にある文字を読んでいく。そこには簡素なものしか書かれていなかったが、無いよりはマシだとそれらを全て暗記し、5時間ぶりに彼女はパソコンの電源を落とした。

やっと椅子から立ち上がり、グッと背伸びをして軽く身体をほぐすと、デスクに置いていた空のマグカップを持ってキッチンの流しへ。水でサッと濯いでそのまま置くと、今度は風呂場へ向かう。手早く浴槽を洗ってからお湯を溜め、その間に先程のマグカップをきちんと洗い、洗濯物を畳んだ。するとちょうどお湯が溜まり、彼女はすぐ風呂に入った。

凝り固まった疲れが何となく取れた頃、風呂から上がって冷蔵庫から冷たいお茶とチョコレートを持ってリビングに。やっと息をつくことが出来た女は、冷たいお茶を喉に流し込みながらあまーいチョコレートを口に入れた。

「このチョコレートも食べきらないと。……しばらく此処には帰ってこれないからね」

その後いくつかチョコレートを食べて、口に残る甘さをお茶で流し込むと、ペンと紙を用意してサラサラと何かを書く。そしてその紙をパソコンの画面の淵にぺたりと貼り付けた。少しの間自分で書いたそれを見つめていた女は、その後歯を磨いてベッドに潜った。

その紙にはこう書かれてあった。
――『必ず救うから』

数日後。彼女は数年前に逃げてきたあの鳥籠へと向かった。
その女の名は――結賀千紗。


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