ネタ帳
◎夜会
※途中で書くのをやめてしまったものです。メモに残っていたのでこちらに載せました。
「僕はやりたくない」
チラリと彼の方を見やれば、至極困った表情をしていた。
主の考えは時たま理解出来ない事がある。しかし、それを口に出すのは恐れ多い事だ。
一条は顎を撫でると暫し試案し、そっと口を開いた。
「李土様の仰ることは分かります。しかし、悠様も立派に成長されてます故……。純血の君には夜会には出てもらわねばなりますまい。しかし李土様もまだとなりますと___」
ギロリとこちらを睨みつけ、その色違いの双眸は底冷えのする冷たさを放っている。それでも長年彼に仕えた身、これくらいで退く一条ではない。彼の足下に跪き、私は頭を下げた。
「どうか、お考えくださいませ李土様。
悠様もきっと、我が君の勇士を心待ちにしていることでしょう」
「……」
(コイツ…悠をダシにしやがって。確かに俺はあの子に弱い、だけど流石にイヤなものはイヤだ)
あの手この手を使って自身を夜会デビューさせようと企む目の前の腐れ縁の一条当麻。
幼少期より共に育った仲だ、ヤツのことは目いっぱい理解しているつもりである。
「お前がそうまで言うとはな…僕は跡目から外れた見だ。次期後継者の悠が出ればいい。僕は必要ないだろう?」
(李土様…そうこられたか…)
互いに一歩も退くことがない応戦。これはもう、あの手を使うしかない!
「悠様!!」
扉に向かってそう叫べば、タイミング良くドアが開かれる。
コツっと音を立てて入ってきたのは___李土の弟である悠であった。いつも穏やかな人好きのする笑みを浮かべて入ってきた彼。彼が現れ、一条は一歩身を退く。
もうこれで私の勝ちは決まったも同然だ。
「李土様は夜会へお出でにならないと仰います。悠様からも言っては下さいませんか」
「お兄様が夜会、にですか…?たしか、まだ一度も参加はしてませんでしたよね一条さん」
「はい……」