私はとある高層マンションの25階にいる。
私の居た探偵事務所からここに至るまでの経緯を説明する
目覚ましで起きた小五郎さんがテレビに夢中になっているのを眺めていると、探偵事務所の呼び鈴が鳴った。
沖野ヨーコの番組放送中であることもあってか、小五郎さんは面倒くさいと言わんばかりの態度で捲し立てるように応対していた
「ちょっとご相談したいことが‥」
聞き覚えのある声が聞こえてその姿を一見すると、そこには帽子を目深に被っているテレビに写っている彼女がいた
今日はもう閉店といいかけた小五郎さんもその言葉を口にしながら気づいたようで沖野ヨーコ!?と驚愕し、その言葉に本人が肯定した
沖野ヨーコであると知った小五郎さんの態度の豹変ぶりにみんなで呆れながらも、依頼に来たという彼女の話を聞く。簡潔に述べるなら極秘に身辺調査をしてほしい。
ということでまず彼女の部屋の調査に向かうことになった。アイドルの部屋に興味があると言った蘭ちゃんが付いていきたいといいだしたので
人気アイドルの家に小五郎さん一人でお邪魔して万一スキャンダルと思われたら大変ですし家族連れのほうが変なことにならないですよね。
そんなことを口に出せばそれに便乗する形で何故か私もここにいるわけなのだ。そして冒頭へ戻る
そんな沖野ヨーコの住居であるこのマンションの25階からみんなと共に外を眺めてみたりして、夜景が綺麗だなと思っていた
しかし彼女が自身の部屋を開けて様子がおかしくなったことに気づいた彼女のマネージャーの声を聞いてそんな夜景を楽しむ時間は終わりを告げる
小五郎さんが部屋を覗き込むとそこには背中に包丁を刺されて出血し横たわっている男性の姿があった。
スキャンダルを恐れるあまりこの事件を内密に‥というマネージャーの声に同意しかけつつもちゃんと警察に連絡だと蘭ちゃんに言った小五郎さんはちゃんと元刑事で探偵なんだなと思わせられる
元刑事だと知っているのは、前世の知識としてちょっと記憶にあった気がする程度だったのだが、蘭ちゃんに昔教えてもらったことがあるからだ。なんだかんだこの世界でも新しく知れることはあるものだ
―――
通報を受けてきた警察に状況を説明する様子を見守る。本物の目暮警部を目にするのはこれが初めてで、事件現場に居合わせるのももちろん初めてだ
目の前で死体を見たことに動揺はしている、正直怖さもある。しかしそれと同時にきっとこれから繰り広げられるであろう“コナン”の話を不謹慎極まりないが少し期待してしまう
コナンくんが部屋の奇妙な状況を幾つか指摘している。自身が高校生であったころもきっとこうであったように行動していたのだろうなと思えば知っている身として違和感はない
しかし小学生の姿でその行動をすることに違和感しか感じない。それは小五郎さんも同じであったようで容赦ないゲンコツが見舞われた
「コナンくん、大丈夫‥?」
「大丈夫だよ‥」
「まあ大人しくせず堂々とああいうのしたら怒られちゃうのはしかたないよね」
だってその見た目だし‥とは口にはしない。そばにいる蘭ちゃんに余計なことを勘ぐらせるわけにもいかない。
とはおもっても小五郎さんと目暮警部のやり取りをみて、目の前で家主であるヨーコさんを犯人とすぐに特定することにもおかしいと口を挟みたくなるのはおかしいことではないだろう
状況的に一番怪しいのは肯定できても犯人であると結論付けるの早いわけで、現にコナンくんも普通合鍵とかあんじゃねーのとつっこんだくらいだ‥
しかしそのつっこみも小五郎さんにある意味都合よく解釈され、今度はマネージャーさんが犯人という流れに至る。
理由を聞けばヨーコさんが犯人なわけがない。というアイドル信仰に基づいたものであるのでこれはこれで頭を抱えたくなる
発見から今に至るまでそこまで時間がかかっていないのもありこの人物の身元がわからないというのは大きいのだろうが、この私情挟まりまくりの推測で安直に犯人としていいわけがない
「警部!あそこのソファーの下にね‥」
そう目暮警部に声をかけるコナンくんだが子供であるがゆえに話を聞いてもらうことすらできずにいる様子だった
「どうしたの?」
「ソファの下にイヤリングがあったからそれを伝えようとしたんだが相手にもしてくれねー‥」
「じゃあ私が言おうか。」
コナンくんが自身でなんとかできる気もするが、せっかくこの場にいるのだし悪くもないだろう
「警部さんお話中すみません、ちょっといいですか?」
「構わんが、きみは‥」
「蘭ちゃんの友達の久野木凛音です。コナンくんがソファーの下に何か落ちてるみたいって気づいたのですが‥流石に拾うのはまずいので見ていただけませんか?」
そういうことはちゃんと注意したしあの子目線低いですし‥事件に関係あるものだったら大変。なんていえば納得したようでソファーの下を覗き込んだ警部はそこに落ちていたイヤリングを拾った
そしてそれを見たヨーコさんがそのイヤリングの持ち主に心あたりがあるらしくその人がこの部屋に呼ばれることになった
「サンキュー凛音」
「いえいえ、まあできることがあったら言って」
―――
沖野ヨーコさんと同期にデビューの池沢ゆう子さんが先ほどのイヤリングの持ち主なので警察に重要参考人としてこの事件現場へ呼び出された
そんな彼女は何故呼び出されるのかと不満をこぼしていたが、彼女がいうことはたしかにごもっともであるがしかし現場には彼女のイヤリングがあったためそうも言ってはいられない
彼女曰く今日初めて訪れたらしいこの部屋にそんなものがあるのはおかしな話なのだが、実際はそんなおかしな話になっているわけだ
小五郎さんが色々と矛盾点を突く中でも、彼女は関係ないと主張する
「バカバカしい、ちょっとトイレ借りるわよ」
そう言って彼女はトイレの中へと入っていった
「ねえ、凛音ねーちゃん」
「ん?」
「あらどうかしたの?コナンくん」
二人で並んでいたからか反応したのは私だけでなく蘭ちゃんもで、コナンくんはきっと何かに気づいたのだろうけれど彼の正体を知らない蘭ちゃんも今会話に参加しているので正直困る状況だ。
「えっと、さっききたねーちゃんがね‥」
「へー、コナンくんなりに考えてたんだ。えらいえらい」
小学一年生に探偵ごっこは早いよ!といって頭を撫でる蘭ちゃん。小学生に対して適切な態度かなとおもっても彼の中身は新一くんであることを知っている本人と私は苦笑するしかない
小五郎さんと目暮警部が二人で一生懸命考えているが、蘭ちゃんもやはり新一くんには劣るとはいわずも彼ならすぐに解いてくれると信頼する発言を零した
そう思うならそこの小学生の手助けしてあげてといいたい気持ちになりながらもその言葉を飲み込む。
「どこ行っちゃったんだろうね‥」
「きっとすぐ帰ってくる。だから心配するな!!」
そうコナンくんが叫んだ。えっ?というような表情を浮かべる蘭ちゃんに私も口を開く
「新一くんは頭いいし難事件であってもちゃんと解決して戻ってくるよ。だから大丈夫だよ蘭ちゃん」
「‥そうよね、ありがとうコナンくん、凛音ちゃん」
―――
再びゆう子さんが小五郎さんに色々と聞かれていた。同じような内容の繰り返しであるがゆえもあるだろうが彼女はイライラとしていたのは不機嫌な声を聞き、態度や表情もみれば一目瞭然だ
そんな彼女は煙草を咥えてそばにあった自由の女神の置物に手を伸ばした。それは一見すると置物だが実際はライターで、彼女の煙草に火をつける
それを見てなぜか前世の記憶にあったアドベンチャー式の法廷バトルゲームにでてきたような一見置物だが実はスイッチを押すと音声が時刻を告げる時計と同じだなんて思っていた
「置物かと思ってたらライターだなんてかわってるねー!おねーちゃん、ここにきたことないんでしょ?それなのによくライターだってわかったね!」
それはまるで無邪気な子供の態度で、彼女をすごいと持ち上げつつも周囲の大人にまるで置物のそれをライターと認識していたおかしさをわからせる。その演技は大したものだ
更に追い打ちをかけるようにヨーコさんにトイレに行きたいと口にしたコナンくんの声は、小五郎さんと目暮警部に聞こえていて
彼らの追求にゆう子さんはここへきたことがないという発言は嘘であった、より正確に言うなら殺人の追求をされたので、この部屋へきたことは認めて死んでいる男に襲われかけたがが殺していないということだった
ゆう子さんがヨーコさんの部屋に入った理由は、やはり妬みの延長みたいなもので‥なんであっても合鍵を盗み住居侵入は良くない
そんな中、被害者の身元も特定できたと警察官が知らせに来る。簡単に被害者の名前や経歴が読み上げられる中で、港南高校という単語に小五郎さんが反応した。
「確かヨーコさんの通っていた高校も‥」
「わ、わたし‥その人知ってます‥!」
そういったのはヨーコさんで、知ってるどころか高校時代に付き合っていたいわゆる元カレだったという衝撃の事実が告げられる。
過去を清算するために殺したのかと思われてそう問われていたが、彼女曰く振られた側はヨーコさんだった。
彼女がアイドルとして有名になってからしつこく復縁を迫るストーカーのような状態になり住居を変えたとも説明がされる
死亡していた彼に関することはマネージャーさんが口止めをしていたので今まで黙っていたとも付け加えて‥
―――
それらの話から小五郎さんがマネージャーさんを犯人だとする推理をはじめた。内心ハラハラとしながらもそれを見守る
小五郎さんの口からでた結論は、マネージャーさんはヨーコさんのために彼を殺してしまったという推理だ。
そんな話をしていた小五郎さんに背後から勢い良く何かがぶつかる。物語を知っているからもしかしてと思い浮かぶことはあるけれど、そう思っていたら椅子へ座り込んだ小五郎さんが続きを話し始めた。
本来合鍵を持つマネージャーさんが犯人だとしたら合鍵を持つがゆえに容疑者にされることは想定内のはずで、そしてその無実を証明する証拠や時間のアリバイがなければおかしい
これは同じく家主であるヨーコさんにも言えると続けた
その考えから犯人がゆう子さんであるかと思われたが彼女もまた、部屋に入ったことがないと嘘はついていても、被害者の男性に襲われかけたと自分から話していることでそうではないと否定した
しかしそれも心理的な推測でしかない現状に変わりはない。それを指摘した目暮警部に対して、推測を裏付ける証拠はあると述べる
最初に被害者に心当たりがあるかを確認した際のことで足を滑らせていたマネージャーさんが、被害者の手に握られていた髪の毛を抜き取っていたらしい。
私はそのシーンを目にしてはいないが、背中を刺されて即死だった被害者がなぜ背後から襲われたのに容疑者の髪の毛をつかめていたか‥
そう考えることでこの話を聞いた人はまさかとある考えが頭をよぎる。
「犯人は、亡くなっていた彼本人です」
そう小五郎さんは言った。しかし自殺で背中に包丁を刺すなんて不可能だという目暮警部の発言に氷を使った簡単なトリックで可能であると説明する
背中に包丁を刺して死んでいたのは第一に自殺と思わせないため。
しかし高温に設定されていた部屋の温度と床に残った水の跡、そして荒らされた室内だったが死体の足元に唯一立っていたイス。
それらを使い、さらにヨーコさんに罪を着せるために手にしていた髪の毛で、それはまるで彼女に殺されたように見せかけたかった。
しかし髪の毛はあまりに策を弄しすぎた。
マネージャーさんが髪の毛を見て、ヨーコさんがやったのではないかと思いとっさに隠したとのことで。ヨーコさんのクシかなにかから被害者の指紋が出ればこの推理も証明できると小五郎さんは言った。
―――
今回亡くなった男性は、昔ヨーコさんにアイドルになってほしいと思っていたマネージャーさんが、彼女のために別れてくれと言った。そんな彼はが彼女のために身を引いた。
それでもヨーコさんをまだ愛していた。しかしそれでも変わらない愛がなんとか彼女を取り戻したい、せめて誤解を解きたいと思っていたと彼の日記に書いてあった
そんななかで、ヨーコさんと似た後ろ姿のゆう子さんが合鍵を使って家に入ったときに声をかけようとしたら、ゆう子さんにとっては知らない人であっても
彼にとってはそこにいるのはヨーコさんだと思うのが自然であって、そんなヨーコさんに自身を否定されたと思うのは当然だったのだろうと思う
そこまで拒絶されるほど、誤解も解けずに絶望して、死を選んだのもわからなくはないが、なんとも悲しい悲劇だなと考えさせられる
(私にも確かいた気がするなぁ、失恋して死にたいと思うほど好きだった人)
この世界に恋人なんてものはいない。そういう関係になりたいなといういい人も今のところいない
前世という認識があるがゆえにこの身体の同年代の人は誰も彼も幼く見えてしまう、思春期の真っ最中でもあるからそれは致し方ないことだと思いはするが‥
その前世の過去の人だから忘れかけていたというところもあるが、転生しようが何をしようが記憶に少なからず存在する以上良くも悪くも人生に影響を与えた人を綺麗さっぱり忘れられるわけもない。
若干理不尽に恨みかけたけれど、その人にされたことを考えれば理不尽でもない。思い出せばひどい人だったと思うこともあったくらいだ
そんなことをしてもどうにもならないと思って、それでなんとなく余計なことを考えないようにって何十年も続くコナンをみて気を紛らわせて‥
(紛らわせて、それで作中の誰かがとても魅力的にみえてその人に夢中だった‥。リアルで裏切られたこともあったせいか二次元は裏切らない!と拍車をかけた覚えがある)
そこまで思い返して思う。それほどまでに魅力的な人は誰だったのか、誰だったか覚えてないけれどそんな素敵な人ならこの世界で出会えたら嬉しいなと思うところはある
それ以降の記憶は正直覚えていない。だから私の前世の記憶にある限り一番新しい記憶のはずなのだがそれはある意味都合よく忘れてしまったらしい
そんな思考を巡らせながらも、ソファーの陰を見ればつかれたーと言葉を零していたコナンくんがいた
そうだよね、今回は眠ってなかったけど、やっぱりコナンくんだったか。そうわたしはおもったのだ
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