視線の的
場所は六番隊執務室。他の死神たちは出払っていて、憂一人が執務に励んでいた。そこへ、客人が一人。
「憂〜見たわよ、今月の通信号!」
「ら、乱菊さん?」
楽しげに笑みを浮かべながら六番隊執務室に入ってきた乱菊の手には今月の瀞霊廷通信…もとい、憂特集号があった。
「【皆の視線の的、美人三席!】…修兵もうまいこと煽るわよね〜。憂になかなか声掛けられないでいる人からすれば神回じゃないの!」
「乱菊さん…そんな私を褒めても何も出ないですよ…それに私、こんな風に注目浴びるのは苦手ですし…」
「なーに言ってるのよ、今月号、かなり好評だって!みーんな一冊は手にしてるんじゃないのっ?」
「私なんかより乱菊さんや七緒副隊長などたくさんの美人死神はいるじゃないですか」
いやいや、と顔を横に振り苦笑いを浮かべ、仕事を進める憂に乱菊は言った。
「何言ってるのよ〜大体みんな違うタイプじゃない!!私はセクシー系で、七緒はクール系で、憂は…男が一番好む癒し清楚系ってところかしら?」
「いやいや…」
乱菊の言葉を軽く流す憂にそんな彼女に少し呆れたような表情を浮かばせる乱菊。
「それにしても、朽木隊長も大変よね〜ただでさえ憂人気高いって言うのに、さらに憂争奪戦が激しくなっちゃうわよねぇ」
乱菊がそう言いながら、瀞霊廷通信のページをめくったそのとき、執務室のドアが開いた。
「誰にも渡す気などないがな」
「びゃっ……朽木隊長…!?」
思わず名前で呼んでしまいそうになったが今は執務中であり、三席である立場を弁えなければならないので、憂は慌てて彼を呼び変えた。
「あーらら。相変わらずお熱いわね〜さーてと、邪魔者は退散させてもらいますね〜」
「乱菊さん!?」
ふらり、と立ち去っていった乱菊。残ったのはもちろん、憂と白哉の二人だけだ。
「えっと…お茶でもいれましょうか?」
「いらぬ」
「なら…今ちょうど手も空きましたので、執務の手伝いでも…!」
「いらぬ」
白哉がそうはっきりと告げた瞬間、憂は彼に腕を引っ張られ、隣の隊長室へと連れていかれた。そして部屋に入った瞬間、後頭部を掴まれ、彼の胸板に顔を埋めるかのような態勢になった。
「びゃ、くや…?」
「…兄は無防備だから困る」
「へ…?」
「いつのまにあんなにも写真を撮られていたのだ?」
白哉が言う写真とは、瀞霊廷通信のことだろう。
「…すみません、私もいつの間に写真を撮られたのか不思議なくらいで……」
…あれだけの量の写真をいつの間に撮ったのか……憂には全く覚えはなかった。
「兄のそのようなところがあるから私は目が離せんのだ…」
白哉に優しく髪を撫でられ、それがあまりにも心地よく目を細める憂。そして彼の背に手を回した。
「他の者の目に憂の姿が映るのすら気に食わぬと言うのに……」
「なれど……私の目には貴方しか映っておりません…白哉」
そう言い、白哉の綺麗な頬に手を伸ばし触れると…白哉は満足げに笑い……
「そうでなければ許さぬ」
誇らしげに笑い、優しいキスを愛しい彼女に落としたのだった。
視線の的
瀞霊廷通信の記事の中には、憂と白哉の熱愛ぶりも載せられていたり。