ミントグリーンが運ぶ青春に
久しぶりに、派手に喧嘩をした。
最初、相手は「忘れたとは言わせねェぞ高杉ィ!」なんて、ほざいて喧嘩を吹っ掛けてきたが、高杉には全く覚えがない。
雑魚なんざ幾らでも相手してきている。それを一人一人覚えている真似なんて出来るはずがない。出来てもしたくない。
勿論その喧嘩は晋助の圧勝に終わり、晋助は拳にかすり傷を負っただけに過ぎなかった。
喧嘩を終えて、そのまま学校へ行った。勿論時間は間に合っているはずがなく、完全なる遅刻だが、そんなことは気にしない。
「…おはよう、高杉君…」
「…あぁ」
授業中と言うこともあり、隣の席の菜子は小さな声で挨拶をしてきた。
「(朝から可愛すぎだろ、こいつ。つーか、可愛くねェときがねェ…!)」
そして、そういう彼女らしい行動が晋助のツボに入るのだ。
その小さな声は紛れもなく自分のためだけに告げられたもの。そう思うだけで晋助の心臓の鼓動は早くなる。
「…今日は、寝坊…?」
「いや…ちょっと他校の奴に絡まれてよォ…」
「…喧嘩?」
「…まぁな」
「…大丈夫だったの?」
「当たり前だろ」
「…そっか」
ふと菜子が浮かべる笑みに、晋助はただただ眺めているばかり。
幸せだ、と晋助が唯一浸れるときだと断言してもいい。
ふと、菜子は顔色を変える。
「高杉君、その手の…どうしたの?」
「あ?…あァ、大したことじゃねェよ」
右手の甲に出来たかすり傷が気になったらしい。…相手を殴った際、出来たものだろうが。
「そのままにしてたらばい菌入っちゃうよ…」
「ハッ、舐めときゃ治る」
「…あ、これあげるよ」
ガサガサ、と鞄の中を漁って菜子が取り出したものは…可愛らしく四つ葉のクローバーが描かれている絆創膏。
「んなもん付けてられっかよ」
「可愛いでしょ?昨日可愛かったから思わず買っちゃった」
そう言う菜子の方が可愛い…と思ってしまう俺ァ…本当に馬鹿だ。
「…はいっこれで大丈夫だよ…」
傷口に貼られた絆創膏。それを見て、何だか思わずニヤけてしまいそうになる。
「ヤンチャなのも高杉君らしいけど、無茶しちゃ駄目だからね…」
ふふっ…と菜子に微笑みながら注意される俺。
だが、どんな先公に怒鳴られるより効果は抜群だろう。
ミントグリーンが運ぶ青春に
(溺れるも、立ち向かうも自由)
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