真紅に染まるのは


「なんか、いつも高杉君に送ってもらっちゃってるね」


「…俺が、したいだけ」


「…ふふっ、ありがと」





その笑みが、可愛くて仕方がないだなんて…俺も末期だな。




「…私、思ってもいなかったなー」


「…何が?」


「…ふふっ、高杉君とこんな風に仲良くなるなんて」




クスクス笑いながら話す菜子。それもそのはず、か。

何故なら、学校でも優等生の部類に入る菜子と、厄介者の部類に入る俺とでは天と地の差がある。


こんな風に肩を並べて歩いているだなんて、傍から見ればおかしいことだ。

…俺といることで、菜子に嫌な思いなどさせていまいか…



「…お前、」


「何?」


「……」


「…どうしたの?高杉君」


「…迷惑じゃないのか?」


「何が?」


「…俺みたいな厄介者といたら、お前の評判も落ちるだろうが」





晋助のその言葉に、菜子は目を丸めた。





「高杉君は、私と一緒にいると迷惑だって思ったことある…?」





不安そうな表情を浮かべて尋ねてくる菜子に、晋助は首を振る。






こうやって隣にいられりゃ心臓はバカみてーに鼓動の速さは高まって辛ェし。
銀八のように口達者なわけじゃねェから、いつも何て言ってやりゃいいのかわかんねェから頭が痛くなることもある。





「……んなこと、思ったこともねぇよ」





だが、そりゃあ相手が菜子だからなわけであって。他の野郎ならんなこと欠片も思わねェ。

こうやって胸が締め付けられそうな苦しみに遭うのは全部……菜子が好きすぎるからだ。





「…じゃあ、私と一緒だね」


「…っ!」




菜子の言葉一つ一つに一喜一憂してしまう自分がいた。…俺ァ中学生か。




「…私、高杉君と一緒にいるの、すごい楽しいの」





菜子にとって、その一言は何気ないものなのかもしれない。

だが、晋助からしてみればそんな一言で胸が高鳴ってしまうほど彼女のことが好きで好きでたまらないのだった。




真紅(しんく)に染まるのは
(空か、それとも頬か)





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