二人の寝顔
「ロー!またこんな遅くまで夜更かし?」
「…お前はいちいち騒がしい奴だな」
日はもうすっかりと落ちきっていて、真っ暗。ハートの海賊船も海上を走るのをやめ、停泊をし、見張り以外のクルーは皆静かに寝静まっている。
……が、ただ一室…ローの部屋だけは昼間と変わりなく明かりが点いていた。
「…う、しかもまた難しい本読んでる…っ」
「ただの医学書だ」
「医学書って…!…あー、もう何書いているのか全然わかんない…」
そー…とローが読んでいる本を覗き、その内容に頭がクラクラしてきたラビ。自分とは次元が違い過ぎる内容ばかりで理解できないのだ。
「よくもまぁ、そんな難しい本読んでいられるね?」
「俺は医者だからな」
「けどもう寝ないと体に悪いよ?…目の下のクマ、消えないし」
「んなもん別にどうってことねェだろ」
「よくないよっ」
ローは医者のはずなのに医者らしくない。自ら体を壊すような真似をしてどうするって言うのだ。
「大体もうこういうリズムで体は出来上がっちまってんだ、こんな時間から寝れるはずねェんだよ」
「…そういうものなの?」
「そういうもんだ。…大体ラビ、お前こそ寝ないのか?」
「…わ、私は…昼間にベポとお昼寝しすぎちゃって……」
「ハッ、らしいな」
「い、いーのっ!睡眠はしてるから!けどローは違うじゃない!…寝るの!」
「俺に命令するなって何回言えばわかるんだ?」
「命令じゃないよ、心配してるんだもん」
没収、とローから分厚い医学書を取り上げると、ラビは目で寝るよう訴える。
「だから眠くねェって…」
「む〜…あ、じゃあ私、子守唄歌ってあげよっか?」
「は?」
パチン、と両手を叩き、目を輝かせるラビ。いいアイディアが浮かんだ…!と、彼女の表情となって表れている言葉にローは眉を寄せた。
「ふざけんな、俺とガキを一緒にすんじゃねェ、ラビじゃあるまいし」
「もう、いーからいーから横になるっ!」
無理矢理ローをベッドへと押しやると、ラビは彼の近くへといそいそと近寄る。
「…コホン、いい?」
「……勝手にしろ、馬鹿」
フン、と鼻を鳴らしてローは背中を向けてしまったがラビはそんなの気にしていない。ふー…と軽く息を吐くと、ゆっくりと…歌を奏で始めた。
しばらくローのために子守歌を歌い続けていたラビ…だったが、
「ゆめ…で…〜…ぐー…」
「…お前が先に寝るのかよ」
ローのために歌っていたはずなのに、歌っている当の本人が先に寝てしまったではないか。それにローは苦笑するしかない。
「…仕方ねェな」
シーツに顔を埋め、膝を付いて眠っているラビを自分のベッドの上で寝かせるロー。彼女が眠るすぐ横で、自分を寝転がる。
「…ん〜…」
「アホ面だな」
ラビを自分の方へと抱き寄せたのだった。
二人の寝顔
(ん、あさ…?って、なんで私ローに抱き締められてるの!?)
(…ごちゃごちゃうるせェ、黙ってろ)
(わ、わわ…っ)