04
「ベックとはなに話してたんだ?」
突如聞かれたシャンクスの質問になまえは慌てた。
貴方の恋愛相談です、だなんて口が裂けても言えない。
誤魔化すように「なんだっけな〜」と、おどけたように思い出すふりをするなまえは、適当なありきたりな会話をだす。
「次の島なにがあるんだろうねって話かな?」
「そうか」
ベックの話になると、ほんの少しだけピリピリとした雰囲気を出すシャンクスになまえは頭にはてなを浮かべる。
だがベックとの会話はシャンクスの話がほぼなので、その話を本人に伝えることはできない。
早く会話を別の話にしようと、なまえは頭をフル回転させた。
「シャンクスは、?ヤソップとさっきまでなんかしてたんじゃなかった?」
「‥ああ、ヤソップと今日の夜の見張り番を賭けてゲームしてたんだがな、俺が負けて終わったよ」
「そうなの?じゃあ今日はシャンクスが見張り?」
「そうなるな。一緒にやるか?なまえ」
他の人との夜の見張り番なんて、寒いから嫌だとすぐに断るが、相手は意中のシャンクスである。そんなの答えは一つであるが、あまりにも即答することに少し気恥ずかしさを感じ、「ええ〜」と迷うような素振りを見せた。
「いいだろ?さっき俺との時間が欲しいって言ってたのはうそだった、ってことか?」
普段の優しい声のままではあるが、挑発するように細めるシャンクスの視線になまえはズキュンと心を打たれる。
この男カッコ良すぎではないか、ともはや怒りたい気分だ。
「その顔ずるいよシャンクス!」
そんな誘い方されて断るなんて考えられない。
だが、昼の明るい中一緒に島をデートするのと夜の見張り番は、暗さだとか静けさとか、思いを寄せている異性と2人きりになる空間に耐えられるかどうか、なまえはかなり葛藤した。
そんな迷っているなまえにシャンクスはさらに圧をかける。
「あーあー、ベックが誘えば来るだろうに。俺じゃなまえは誘えねェってことかー」
棒読みで分かりやすく落ち込むフリをするシャンクスに、なまえはシャンクスの腰を軽く叩き、ケラケラと笑った。
「しょうがないな〜、!シャンクスがそんなに私といたいっていうなら付き合ってあげる」
「ほんとか?ありがたいな、急に憂鬱な船番が楽しみになった。ヤソップとの賭けにも買った気分だな」
調子良く笑うシャンクスとは裏腹に、なまえは夜までにお風呂にマッサージに、この間洗濯したばっかの洋服に着替えようと、やる事は沢山だと密かに意気込んだ。
「私お風呂入ってからいくから、ちょっと遅れるかも」
「そうか、まあその後気が向いたら来てくれ」
忘れず来いよ、と釘を刺すシャンクスになまえはにまにまと頬が緩んだ。
この後遭遇したベックにでもこの嬉しさを共有して話を聞いてもらおうと頭の片隅で考える。