08
待ちに待ったシャンクスとのデートの日は案外すぐに訪れた。
昨日の夜中、島に着いたとみんなが騒いでいた中、なまえはわくわくと胸を高鳴らせながら、今日着ていく洋服、アクセサリーなどをクローゼットから何個も出し、まるでファッションショーのように自室で決めていた。
楽しみで眠れなかったが、緊張からぱっちりと目を覚まし、愛しいシャンクスを思い浮かべながら、自分史上最高の可愛いを作り上げるように念入りに鏡と向き合った。
準備ができたらるんるんで船を降り、シャンクスとの待ち合わせである場所へと小走りで道を進む。
「シャンクス、お待たせ!」
はあはあ、と白い息をはきながらシャンクスのもとへと駆け寄れば「俺も来たところだ」と笑顔で迎えられる。
船内で一緒に出かけるのもよかったが、なまえがデートらしく待ち合わせをしてみたいと思い、船上から見えた遠目に見える大きな時計の下で待っててくれというなまえの我儘からだった。
「おなかすいたね」
「ああそうだな。昨日の夜中島に着いた時少し降りて見てみたが、あっちに商店街があるみたいだぞ」
そうやってさりげなくエスコートしてくれるシャンクスに「じゃあそっちに行こっか!」と返答しながらも、なまえはどきどきと胸を高鳴らせた。
えい!とシャンクスの腕を絡みとり、自分の腕をくみ、先程から遠目にシャンクスをちらちらと見る女性へと見せつける。四皇で有名だから見ている人もいるかもしれないが、恋する乙女としては女性からの視線は全て敵に思えるのはしょうがないところだ。
海賊だからといって、こんなに顔が整っているイケメンなのだから、毎度島の女性が惚れてこないか心配である。
「珍しいな、なまえから」
女性に見せつけたいからなんて彼女でもない立場から言える訳もない。
「ほら、雪がちょっと積もってるから転ばないように」
「俺が転んだらなまえも道連れだな」
「そしたらすぐ腕離して見離してあげる」
「そうか!」と大きな笑い声をだすシャンクスを見つめ、なまえはまるで恋人のように繋がっている腕をギュッと強く抱きしめた。
船から数分歩いた所に、がやがやと活気良い商店街が広がり、左側に数店舗飲食店が並んでおり、その中でも見た目が綺麗で肉と酒の絵が書いてある看板になまえとシャンクスは惹かれ、吸い込まれるように店に入った。
「わあ!この海鮮ピラフと牛ステーキ美味しそう!」
どっちにしようか、となまえはメニュー表と眉を顰めてにらめっこすれば「どっちも頼んで一緒に食べるか」とシャンクスは慣れた手つきで店員を呼び、2つの料理とこの店1番のお酒を2人分頼んだ。
「他に食べたいのがあれば頼め。ここは俺が出すから値段は気にするな」
「ほんと?そしたらこれとこれも食べたい!ぜんぶ半分こしようね」
「分かった。酒が来たら頼もうか」
「うん!」とまだ見ぬ料理に期待をよせ、わくわくと心を躍らせる。
美味しそうなメニューを子供のように喜び選ぶなまえをシャンクスは愛おしそうに目を細めた。