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あの女に関わればリヴァイに殺される。

今までより遥かにリヴァイとなまえの距離が縮まったからだろう。
そう噂が飛び交うのは毎日のリヴァイの送り迎えのおかげで時間はかからなかった。元々ケニーに関わる子供という所も、リヴァイの悪ガキぶりも、なまえのその地下街で生活しているとは思えない風貌で、噂の的になっているので広まるのは一瞬だ。

コソコソ陰で言われる事はあるが、昔より街に恐怖感が無くなったのは誰でもないリヴァイのおかげだろう。
なまえは改めてお礼を言おうと、口付けていたティーカップを静かに起き、「リヴァイくん、ほんとに色々ありがとう」と笑った。

「リヴァイくんはこれから色んな人を助けていくんだろうね・・」

最初の頃はニヤニヤと笑う男達に毎日のように見られていたころが懐かしい。
今ではなまえに話しかける男が居ても、リヴァイの射抜くような視線に耐えられず話しかけにいく者もめっきりいなくなった。
攫おうものならリヴァイに地獄の果てまで追いかけられるだろう。

「別に人助けしたい訳じゃない、・・なまえさえ居れば誰もいらない」

「ぅっ・・なにそれ。可愛すぎて死んじゃう」

最後にぽつりと控えめに言葉を発したリヴァイに、なまえはうっと心臓を鷲掴みされたような気分だった。

「私も本当はずーっといたいけど」

これから君はファーラン達と出会って、エルヴィンに出会って、調査兵団に入って沢山の人々を救うんだよ、と言ってしまいたい気持ちをグッと堪えた。
何か伝えようとした言葉を口に飲み込んだなまえに、リヴァイは不思議そうに見つめた。

「何も考えないでここにずっと2人で居ればいいだろ」

「ん、んー・・」

口籠もり、何かを考え込んでいる様子のなまえはどこか上の空だった。
リヴァイは微かに違和感を感じ、持っていたティーカップを置いて小さく眉を顰めた。

「・・・」

「・・・・いつまで一緒にいれるかな」

ファーラン達と出会う前に離れなければ物語が変わってしまうのでは、となまえは心の内側に小さく波が立った。

その小さな呟きを聞いた途端、リヴァイは初めてなまえに対して視線を鋭くさせた。

「なまえも俺から去るつもりなのか」

ガタリと音を立てて椅子から立ち上がり、怒気が含まれているリヴァイの強い口調と、思いがけない言葉になまえは大きな目をさらに開いた。




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