16

午後から立体機動装置の訓練があるからと既に昼食を食べ終わった兵士達が、ちらほらと中庭に出てきていた。
エレンもその内の1人で、まだ時間もあるし全員は揃っていないなと辺りを見渡した。


突如ドサッ、と何か落ちてきたような大きな音が響き渡った。

なんの音だったんだと好奇心から音の鳴った方へ駆け足で近寄れば、調査兵団の敷地内というのに兵団服を着ておらず私服であろうワンピースに身を包んだ女性が倒れているのを見かけ、エレンは心配そうに覗き込んだ。

「だ、・・・だれだ?」

おそるおそる話しかけられたなまえはゆっくりと大きな瞳を開けた。
太陽が眩しいらしく、ぱちぱちと何回か瞬きした後に「あれ!?」とこれまた大きい声で叫んだ。

「いた、あ・・?私死んだんじゃ・・・?」

きょろきょろと大袈裟なように周りを見て、頬をつねり出したなまえはどうみても変人だが、その様子に脅威も全く感じられず、特にエレンは警戒もせず一歩なまえへと近付いた。

「どっから来たんだ?ここは調査兵団の中だけど、どうみても兵士・・じゃ、ないよな」

長く艶やかな髪をくるりと巻き、着ているワンピースと靴は同期の女性兵士達が休日にも着ないような高価な物のように見えた。

「えれ、!?・・え、また夢、?」

「おい大丈夫か?」と、軽くパニックのように焦り出しているなまえにエレンはどうすればいいのかと頭を掻いた。

大きな音や、兵士ではない女とエレンが一緒にいる様子に、元々中庭にいた兵士達がなんだなんだとわらわらと集まっていた。


ここにくる直前の車に轢かれる時、きっとその時に昔のように怪我をして意識を飛ばしているのだろうか。
またリヴァイに会いたいとこのリアルな夢を求めてはいたが、いざ囲まれて好奇の目に晒されているその雰囲気になまえは居心地悪そうに視線を下に落とした。


「おい、何の騒ぎだ」

低いそのリヴァイの声は、兵士達の後ろにいるため小さい声だったが、なまえはぴくりと反応した。何百回も何千回も画面越しで聞いてきた大好きな声。

またあの時のように会えるの?となまえは期待をこめて声が聞こえた方向へと輝く瞳を向けた。




するとなまえは近くで囲んでいた何人か兵士達の体の隙間から、人より少し小柄であるリヴァイを見つけ、驚きと嬉しさから小さく口を開いた。

「ぁ・・ッ」

そんな見つめるなまえに引きつけられるように、リヴァイの瞳がゆっくりとこちらを向き、ばちりと視線が合った。




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