今日の夜も、食事はとっくに済んでいるはずのリヴァイがなまえを待っているのだろう、1番端の席で本を読みながら紅茶を飲んでいた。
そんなリヴァイに聞こえないようにコソコソとした小さな声でオルオはペトラに尋ねた。
「結局リヴァイ兵長となまえさんってどうなんだ」
「あの日からその噂でもちきりよね、さすがに話題も話題だし」
そういってペトラも、リヴァイにチラリと控えめに視線を送った。
リヴァイが今まで用もないのに食堂に居座る事は絶対になかった。その理由が最近入ったなまえという女性を待っているとなればそれはもう噂は一瞬で広まった。
「なんでも地下街の時に一緒に暮らしてたんだろ?」
「らしいわね、まずそこからもう聞きたいけど・・・てことは家族、ってことはないのかな」
あの時ほどざわついた兵舎は今までなかっただろう。全く想像がつかない尊敬するリヴァイのその姿、その場面を見れなかった事に残念とすら感じるオルオとペトラは、はあ、とため息をついた。
「おい、エレン!お前見たんだろ?あの時を・・・どうだったんだ!」
神妙な面持ちのオルオに、斜め前に座って食事を取っていたエレンは不思議そうに首を傾げた。
「なんですかあの時って」
「リヴァイ兵長がなまえさんを見つけた時だよ!」
ああ、とエレンはなまえに初めて会った時を思い出した。あのリヴァイ兵長が周りを気にせず抱きしめたその衝撃は今でも忘れない。そして色んな人になんだったのか、どうだったのかと質問責めにあった時は勘弁してくれと頭を抱えたいほどだった。
「でもあれは家族っていうより・・むしろ恋人、だと思いました」
「・・・やっぱりそうなのか」
ほんの少しだけ落ち込んだ様子のオルオに、ペトラは信じられないといった表情で引いた素振りを見せた。
「オルオあんたなんでちょっとガッカリしてるのよ・・」
「そうだな、なんというか・・・近所の美人なお姉さんが取られたような感覚というか。分かるか?エレン」
「俺を巻き込まないでください!」
「リヴァイ兵長にチクろうかしら」
「おい、俺を殺す気か!!」
痴話喧嘩を始める2人に、エレンは苦笑いを浮かべた。
そして遠目になまえの口端に付いていたパンくずを、あの潔癖症のリヴァイが嫌がる素振りを見せず取った様子にエレンは目を丸くさせた。