リヴァイ兵長が花束を持っていた。
そう聞けば誰もが思っただろう、なまえに渡すのだろうと。
そんな兵士達の集まる視線を、面倒くさそうにリヴァイは舌打ちをしながら、なまえの部屋へと向かった。
今日は非番で部屋にいるだろうと、数回ノックすれば「はーい」となまえの返事が聞こえ、ガチャリと音を立てて開けた。
「おい、入るぞ」
「リヴァ・・・え、わあ!綺麗な花束、どうしたの?」
なまえの部屋に訪ねてきたリヴァイの手には、小さめではあるが立派な色とりどりの花束になまえは瞳を輝かせた。
「なまえにだ」
いつもの兵服を着ていないリヴァイは、わざんざ休みの日に買いに行ってくれたのだろう。黒い薄手の長袖を着たその姿に何を着ても似合うなと思わず凝視してしまいたいくらいだ。
「ありがとうっ!嬉しい・・・!」
「・・・そうか」
なまえの腕の中に渡ったその花束はふわりと甘い香りが漂い、うっとりと頬を緩めた。
きっとこのなまえの部屋に来るまで、沢山の人から珍しそうに見られてきたのだろうリヴァイを想像してくすりと笑った。
「なんで急に買ってきてくれたの?」
亡くなった兵士の為には分かるが、プレゼント目当てで買いに行くリヴァイは申し訳ないが全く想像がつかない。嬉しい気持ちは勿論あるが、驚きの気持ちも半分ある。
ぱちぱちと瞳を瞬かせ見つめるなまえに、リヴァイは居心地悪そうに視線を逸らした。
「・・・昔言ってただろうが。地下だと花が見れねえと」
お願いした訳でもない、なんでもない発言から買ってきてくれたのかとなまえは驚いた。
ゆるゆると口角は緩み、花束へ視線を落とし「おぼえててくれたんだ」と小さく呟いた。
確かにあの薄暗い地下街で地上の花が恋しくなった時があった。まさかそんな些細な言葉で、リヴァイが花束まで買ってきてくれたのかとなまえはほんのりと赤く染まった頬を隠すように花束を顔の前へと持ち上げた。
「こんな柄でもねえ事。・・・俺は今浮かれちまってるのかもな」
は、と自嘲気味に鼻で笑ったリヴァイはなまえを真っ直ぐ見つめた。
「好きだ、なまえ」
「えッ、!?」
なまえの大きな目が見開いた。
今なんて言ったのかと、リヴァイの顔を困惑しながら見つめるもリヴァイは否定せず言葉を続けた。
「・・・お前の事を考えると胸が苦しくて仕方がねえ」