リヴァイの細い腕をもっと逞しくするためには食料はいる。
そしてなまえはリヴァイのように強さでどうにかなるものではない、ここから少し歩いたところにある中心街の酒場で雇ってもらったのだ。
地下街というのは履歴書や親の同意書なんて物は何も要らない。
元の世界で居酒屋でアルバイトしていた知識をフル活用してそれはもうキビキビと働き、全ての給料はリヴァイへの貢ぎ物だという意識で働いていた。
幸い地下街の中で値段が高めのおかげか、そこのお店でまだ怖い思いをしたことがない。たとえ起きたとしても、気性の荒い客が多かろうと、リヴァイと使えるお金になると考えればなにも辛いことなんてない。
「じゃあリヴァイくん、私お仕事行ってくるから」
なまえはここに来た時の丈が短い制服しか持っていなかったため、大変心苦しいがクシェルの着ていたロングスカートをお借りする。この世界であの短いスカートは襲ってくれといっているような物だろう。
お世辞にも洋服とは言えないような具合の布だが、リヴァイが簡単に着る事を許可するとは、と目を丸くした時が懐かしい。
「・・リヴァイくん?」
いつもなら「分かった」と返事がくるのに、中々返ってこないリヴァイの様子になまえは不思議そうに首を傾げた。
「・・・」
「・・・」
「・・どのくらいで帰ってくる?」
聞くのが恥ずかしくて躊躇っていたのか、こちらを伺うような純粋な瞳に、なまえは心臓を撃たれる気持ちになった。
「どうだろ、なるべく早く帰ってくるようにするね?」
抱きつきたい衝動をグッと堪えて、こくりと首を縦にしたリヴァイの頭にぽんと手を当てた。
「今日はお給料日だから、帰りに美味しそうな茶葉買ってくるね!」
「分かった」
「帰ったら一緒にすぐ飲んじゃおっか」
楽しみだね、と花が咲いたように笑うなまえにリヴァイは口元をほんの少し緩くした。
なまえはこの数週間リヴァイと毎日いたおかげか、リヴァイの微かな表情の違いが分かるようになってきた。
今はきっと喜んでくれてるんだろうなと、リヴァイの頭に置いた手を撫でるように動かした。
「ここで帰ってくるまで待ってる」
「うん、ありがとう」
今度こそ行ってくるね、とひらりと手をあげて駆け足で去っていくなまえの背中をリヴァイは見つめるように見送った。