10.少しずつかわる世界
「私、モテ期きたかもしれない」
先程、朝食に向かう廊下で兵士から受け取った手紙はきれいに封されていた。渡させた時の緊張感、相手の赤面していた顔は、自意識過剰でなければ間違いなく異性としての意識を感じられた。
「はぁ。そうっすか」
「ねえもっと聞いてよ!話したいから!」
今まで兵長しか眼中にいなかったからか、初めての経験に興奮したようにジャンに詰め寄るものの、興味がないといわんばかりに鼻で笑われる。
「まあなまえさんは黙ってればモテると思いますよ。普通に」
「え!・・ん?褒め言葉だよね?」
「黙ってるのが無理だからあれですけど」
「ジャンのばか!ひどい!」とぷりぷりと怒りながらも当たり前のように隣に座って食べ始めたなまえに、ジャンは何も言わなかった。
「こういう話は男の俺じゃなくて女性としたほうがいいですよ」
「だって兵長の作戦知ってるのジャンしかいないから話すと色々ややこしいじゃん」
「あー・・・・」
リヴァイからジャンに乗り換えた、リヴァイとなまえが喧嘩した、そう周りが面白がり話す噂は、完全に消すのは不可能なほど兵団内に回っていた。
「で?中身は読んだんですか」
「あ、うん。ご飯行きましょうっていうお誘いだったから今日丁度お休みだし行こうかなって」
「は?!」
展開が早すぎるだろ、と驚いた素振りのジャンに、なまえはそうかな?と首を傾げた。
誘われて嬉しかったのもあるし、知り合いからと言われれば拒む理由も特に見当たらなかった。いつ会えなくなってしまうか分からない調査兵団の兵士で先延ばしにするのもな、と街での食事になまえはすぐさま了承した。
「それに全然兵長との進展ないし!!悲しいからやけ食いしてくる!!」
「いや、」
「なんか聞いた?!」
進展は間違いなくあっただろう。
こちらが気にしているのもあるが、ジャンは食事の度にリヴァイからの視線を感じていた。
なまえを気にしているからだろうが、あのリヴァイが寂しいなどという理由でこちらを気にするとは到底思えない。
突き刺さる上司からの視線に何度挫けそうになった事か。そんなジャンの苦悩をなまえは少しも分かっていない。
「別になんもないです」
「ええ・・?!」