11.溶けゆく春に抗う
「やけに色気付いて何処へ行くつもりだ」
「ッぎゃあ!」
るんるんと鼻歌混じりで、手紙を頂いた兵士の男性とご飯に行く洋服を決めていれば、いつのまにか自分の部屋の扉が開かれていた事などさっぱり気が付かなかった。
「へいちょう?!・・・びっくりするのでノックくらいしてください」
久しぶりの間近な兵長に、ドキドキと高鳴る鼓動が聞こえた。
こんなに大好きなのに、他の男性とご飯に行く洋服を考えていた少しの罪悪感に目を閉じて、慌てて広げていた洋服を片付け始めた。
「ノックならした。・・・お前の浮かれちまった頭には聞こえなかったみたいだが」
「兵長のノックが小さすぎるから聞こえなかったんです・・・っ!」
「ああそうかもしれねぇな、今度から気を付けよう。この部屋に男を連れ込んでいたらとんだ修羅場になっちまうもんな」
いつもより圧があるリヴァイのせいなのか、それとも最近避けていたせいで気まずいだけなのか、リヴァイの瞳が見れそうになかった。
視線を畳んでいた洋服に落とし、何事もないように話すのがなまえには精一杯だった。
「・・・男の人なんて連れ込む予定無さそうな私によくいいますよ!もう、からかってます?」
「っは、どうだかな」
今までずっとリヴァイだけを、見つめていたのだから。連れ込む男性なんて誰1人頭に出てこない。それを分かってて言ってるのか、それとも気付かないフリをしているのか、今はそんな事考える余裕もできない。
「最近お前の周りには男がうろついてるだろうが」
「うろついてって・・・もしかしてジャンのことですか?」
優しくしてもらっているジャンの事をそんな風に言われるのは嫌だと、なまえは口を尖らせた。
「ひどい言い方です、仲良しの後輩なのに」
「あいつにばかり構うな」
「・・・なんでですか?別に、ジャンと話してる理由は、」
“兵長の事を相談していて、今は押してだめなら引いてみる時期なんです!”なんて、言えるわけがない。
「な、んでもないです」
「なんだ」
「や、大丈夫です」
「そこまで言っといて何故最後まで言えない。あいつと話してる理由があるなら話せ」
「だから・・・ッなんでもないですってば!」
「なんでもなくないだろうが」
鋭い声色に、全て伝えてしまいたい欲を飲み込むようにごくりと喉を鳴らした。
今伝えてしまえば、結局何一つ変わらないままだろう。
「や、です」
「おい早く言え」
そんな少しでも期待させるような話しをしないでほしい。ただでさえ最初の頃はリヴァイを避けるのはつらかったのに、これ以上頭の中を占領しないで欲しい。
「〜〜ッとにかく!私はいまリヴァイ兵長の事を考えたくないんです!!!」