02.君がいなくちゃだめなんだ
「兵長がね、かっこよすぎるんですよ。もうほんと、なんであんなかっこよく産まれたんだろう」
「まあたしかに男の俺から見ても兵長はかっこいいよな」
「でしょう!!!やっぱりそうだよね」
訓練の休憩中に、近くにいたエルドと一緒に時間をつぶしていると、少し遠いところにいた愛しのリヴァイ兵長の背中を見つければ、思わずぺらぺらと兵長への愛がこぼれる。
そんななまえの口癖のようなものも、エルドは嫌な顔一つせずに話に乗ってくれる。こういうところだ。モテる男とモテない男の境界線はこうやって生まれるんだ、そう脳内でぼんやりと思った。
「兵長ってどんな人がタイプなんだと思う?」
「んー・・・。どうなんだろうな、でも笑顔が可愛い子とかはやっぱり男はみんな好きだと思うけど」
「それ元の顔がいい子限定なやつでしょ!?もっとこう、性格的なやつ!直せるやつ!」
「なんだよ、なまえは十分自信もっていいと思うけど」
そうさらりと言ってのけるエルドは、まさしく彼女持ちという称号が納得いく。
だけど彼女がいるのにほかの女にそんなこと言ってるとだめなんじゃないかと思うが、嬉しい気持ちもあって素直にお礼を述べた。
そんな話をしていれば、どこから聞いていたのだろう、オルオがなまえとエルドの近くへ呆れるような顔をしながら歩み寄った。
「おいおい、まーた兵長の話してんのかよなまえは」
そんなオルオになまえは、「かっこよすぎる兵長が悪い」 と、口を尖らす。
「バカ。兵長がかっこいいなんて当たり前だろ?なんせ俺が尊敬するお方なんだからな」
「オルオの気持ちはどうでもいいの、今は」
「おい!お前なぁ!」
「おい兵長ばか2人。そろそろ休憩終わるから行くぞ」
腰を上げたエルドに、なまえとオルオはひとつ返事をしてついて行く。
今日行われる対人格闘の訓練より、立体機動の訓練の方が好きだ。いつもより幾分重い気持ちも、ちらりと兵長の姿を盗み見れば、頬は緩まり心は嘘みたいに軽くなる。
ポカポカとしている天気に加え、たくさん動けば体は熱くなるだろう。
腕で額の汗をふいたリヴァイになまえは思わず釘付けになる。
「か、っこいいなぁ.....」
何気ない仕草だけでこんなかっこよくなるなんて。ぽつりと呟いたなまえの言葉は、遠くにいるリヴァイなんかに届くなんてありえないが、グッドタイミングだといわんばかりに、リヴァイは体の向きを変えてこちらの方に振り返った。
「・・・っ! へいちょー!!!」
「うわ!急に大声出すなよ、っ!」
隣で驚いているオルオには目もくれず、なまえは先程とは比べ物にならないほどキラキラとした目でリヴァイに大きく手を振った。
気付くかな。そんななまえの小さい想いは叶えられ、リヴァイはぴくりと眉を動かしなまえを見た。
「あ、!こっち見てくれた!!やばい、嬉しい!オルオ!兵長が気付いてくれた!!」
「わかったから、うるせえよ!!」
ぶんぶんと手を振るものの、こちらを見ているもののリヴァイからの応答は無かった。そんなリヴァイになまえは落ち込むどころか、気付いてくれた事に満足そうに頬を緩めた。
しばらくすると、リヴァイは右手で追い払う素振りをするかのように動かした。
「あーー、かわいい兵長」
「・・・・・・あの仕草で喜ぶのはお前だけだろうな、この世界で」
「え、なに?ごめん聞こえなかった」
「なんでもねえよ」
いい加減諦めろ。そう伝えたいほどにアタックするなまえと兵長の関係は、もはや調査兵団1番の注目の的だろう。