03.どうかお側においてほしい




先程から少し遠くにいるリヴァイのことをちらりと見れば、本人は隠しているつもりだろうが、口元を緩めているなまえをエルドは苦笑いを浮かべながら見つめた。

今日は普段より暑く、じとりと汗が出てくる。訓練の順番待ちをしていれば、なまえの隣にいるエルドが一つ息を吐いた後にボソリと呟いた。

「リヴァイ兵長のこと、ずっと好きなんだな」

そう言ったエルドになまえは暑さからか少しぼんやりとしながら「うん」、と迷わず答えた。

「凄いな・・・・・・。今だから言うけど正直諦めると思ったよ、兵長って女性に興味無さそうだし」

「そうなの!そこもまたいいの。そんな人がさ、私だけを好きになってくれたりしたら・・最高なんだけどなーー!」

そううっとりして話すなまえはリヴァイのことを思い出しているのだろうか、嬉しそうに空を見上げた。

そんななまえを見て、エルドは肩の力が抜けたのように口元を緩めた。

「今のところ私の人生はそれにかけてるから!エルドも応援しててね」

「ずっと前から応援してたろ?」

「まあ、たしかに・・。これからも、ってことで」

そうエルドにお願いすれば、快く了承を貰ったなまえは、「やった!」とまるで子供のように素直に喜んだ。

「なまえみたいなやつが沢山いたら平和そうだな」

「・・・・・それ褒め言葉だよね?」

少し笑いながら言うエルドを、じとりと怪しげに目を細めた。

「ああ、」と頷いたエルドはどうもいつもより肩が落ちているようである。
訓練の時、壁外調査の時、周りを引っ張っていってくれような強さを持ち合わせているエルドは、たまに落ち込んでいる素振りを見せている時がある。そんな時は必ずしもではないが、主に彼女との揉め事が多いい。

村人である彼女と、兵士であるエルド。3つ別れている所属兵団で1番命の危険がある調査兵団に所属していれば彼女の不安もきっと拭いきれない。

「なに、また彼女とケンカでもしたの?」

「あー、いや。まあ、な」

俺ってもしかしてわかりやすいかな、と頬を掻くエルド。

なまえの先程まで緩めていた顔は、今はもう自らの事のように心配そうに眉を八の字に変えた。

「俺は調査兵団に入った事、後悔なんてしてないけど時々思う。彼女は違う男のほうが幸せにしてやれたんじゃないかって」

そう紡いでいくエルドに、なんて声をかけてあげればいいのか、エルドの彼女への思いの強さを知っているからこそ、なまえは頭を悩ませた。




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