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まるで、というか絶対。
リヴァイは明らかになまえの行動を制限していた。休暇にはリヴァイとデート、リヴァイの仕事の手伝い。出かける暇なんてこれっぽっちもなかった。
「でもリヴァイ兵長と一緒にいれる時間なので、それすら幸せに感じる私ってやばいですかねハンジさん」
「あっはっは!重症だねちゃんと」
大声で笑い飛ばすハンジになまえは気にせずうっとりと惚気た。
今朝もリヴァイの部屋で熱いキスを交わしていたなまえは、その時間を思い出してぽっと頬を染めた。
「私幸せすぎます、今でも信じ難いですあの兵長と付き合ってるなんて!」
「なまえも変な男に捕まっちゃったね」
「あは、一生捕まってたいです」
「熱々だなあ」とにこりと笑うハンジに、なまえはつられてへらりと笑った。
「でもね、なまえ本当にそれでいいのかい?」
穏やかな声色とは正反対に、眉を顰めて真剣な瞳のハンジに、なまえは「え?」と呟いた。
「ずっとあの彼に謝りたいって言ってただろう?何故そうなったかは過去のなまえにしか分からないけど・・。でも彼に今の気持ちを伝えるのはしておいた方がいいと思うよ。彼も前に進めなくなってしまうから」
たしかにその通りだ。リヴァイに嫉妬されているのではと浮かれていた自分を殴りたい。
確かに忘れていたとは言え自分自身がやっていた事。きちんと終わらせなければならない。
「たしかに、そうですよね」
でも、となまえはどうしてもリヴァイを欺いて彼に会いにいくのが不可能だとここ数日を過ごして察していた。
「私が今日の夜呼び出しておくよ、兵舎の裏。夜なら動けるかい?」
「えっ!そんなこと、してくれるんですか?ハンジさんは大丈夫ですか?」
任せてくれと微笑んだハンジは、今日の夕食後に人通りが全くない水汲み場、そこで待ち合わせとしようかと。
そしてくれぐれもリヴァイにこの事を秘密にするんだと。
「ありがとうございます!」と深々とお辞儀をしたなまえは、にこりと屈託のない笑顔をみせて去っていった。
そんな背中にハンジはぽつりと呟いた。
「これで全て終わらせてくれれば、私も少しは彼に対して罪悪感がなくなるか・・、」
あまりにも驚いた。なまえが他の男性と付き合っていたのもそうだが、まさかリヴァイが記憶のないまま奪い取るなんて。
あの時医務室でなまえとあの憲兵団の男性にリヴァイを会いに行かせたのは間違いなく自分のした事で、あれがなければ彼はなまえを失う事はなかったのかと考えてしまう。
もちろん大事な仲間であるリヴァイとなまえが結ばれる事を望んでいたハンジにとって、喜ばしいことでもあったが。