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リヴァイがなまえに違和感を感じながらも、兵舎の中で仕事に取り掛かれば黙々と作業をした。
ふとした時に目が合うと、するりと頬を撫でられるリヴァイのその甘い対応にやっと慣れてきた。
慣れてきたと言っても間違いなく顔は赤くなってしまうが、そんななまえの様子に満足そうに口角をあげるリヴァイがたまらなく好きだ。
“今日の夜会いに行ってくるんだ”とリヴァイへ伝えられたらどんなに楽な気持ちだったろうかと、ついにきてしまったこの時間に、なまえは気持ちを落ち着かせるように大きなため息をこぼした。
わざわざ私服に着替えて会いに行くのもなと気が引けて、制服のままそろそろと足音を殺して待ち合わせの場所へと向かった。
「あっ」と小さく声が漏れたのが聞こえたのか、薄暗い中佇んでいる男性がくるりとこちらを向いた。
「なまえ・・」
会えて嬉しいと言わんばかりに目尻を下げて笑うその男性は、リヴァイとはまた違う美男子で、栗色の柔らかい髪から覗くぱちりとした二重。
「あ、の・・本当に今まで会えなくてごめんなさい、ずっと会いたかったんですけど」
心底申し訳なさそうに眉を顰めるなまえに、男はふ、と小さく笑った。
それもそのはずだ、自分がなまえに面会を頼みに行けばリヴァイが帰れと来るのだから。
また怒られるのかと震えながらも通う自分に、我ながら諦めが悪いと思った。
元々リヴァイに脈がないと、だからお試しでもいいから付き合ってくれないかと持ち出したのは自分で。
なのにリヴァイからの鋭い敵対視はまぎれもない嫉妬だった。そんなの完敗ではないか。
「最後にどうしてもなまえと会いたかったんだ。・・・・君を諦めるために」
「ごめんなさい。どうしても思い出せなくて。・・一度付き合ってはいたんですよね?なのに、ごめんなさい。それでも私今、リヴァイ兵長の事を」
「待って、それは傷付くから言わなくていいよ、何度も言われたし・・ずっと昔から分かってるから。」
悲しそうに笑う男になまえは心臓を握りつぶされた気分だった。
間違いなく目の前の人をここまで傷付けたのは自分だから。
「大丈夫。全部無かったことにするし・・もうここにも会いに来ない。でも、最後に抱きしめさせてくれないか?」
これで終わらせるからと、優しく、壊れ物を扱うようにぎゅっと抱きしめる彼に、なまえは到底拒否は出来ない。
「本当にごめんなさい、ありがとう会いに来てくれて」と弱々しく呟いて、男の腰に手を回した。