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本来夕食後、食べ終わったあとにすぐなまえがリヴァイの部屋へと行っていた。だが今日は遅くなる、そう伝えられたのは数時間前のお昼。
昼間なまえの嘘を見逃したものの、リヴァイの違和感は考えるほど大きくなっていき、モヤモヤとする胸糞悪いこの気持ちに舌打ちを落とした。
夕食を食べ終わった後も食堂に残り、わいわいと談笑しているグループがちらほらとある中、オルオとペトラの席へリヴァイは迷いなく進んだ。
「お前らなまえかエレンを見なかったか」
賭けでもあった。これで2人が一緒にいたら、なまえの言っていた通り。リヴァイは黙って部屋へと戻っていただろう。
「え?エレンですか?・・エレンならついさっきあっちの奥の方で新兵同士で喧嘩してましたよ」
「なまえだったらさっき1人で外に出て行くの見た気がするな」
「そうか」と先程より低くなったリヴァイの声に、オルオとペトラは緊張から身体を硬くさせた。
冷たい空気を感じたペトラは、冷や汗をかきながらリヴァイへと気を遣った。
「あっ、・・!なまえってば兵長にどこ行くか言わなかったんですね、?まったくもう・・」
「も、もしかしてあいつらなんかやらかしましたか!兵長の時間を使わせるのは申し訳ないので俺が代わりに」
「なんでもない。邪魔したな」
そういってすぐに背を向け歩き出したリヴァイに、2人は何が起きてるのかと顔を見合わせた。
コツコツと靴を鳴らせ、リヴァイはなまえが向かったという外へと足を進めた。
昼間のなまえの嘘をついている様子はやはりリヴァイの思った通りだった。
エレンと話すという嘘をついていく用事なんて、あの男と会いにいくしか考えられなかった。
グッと眉間の皺が増えて、舌打ちをしながら歩いて行くリヴァイに、周りはどうか関わりたくないと怯えながら道を譲った。
食堂の明かりが遠のきぼんやりと暗い中廊下を歩いていけば、少し離れの水汲み場に普段この時間に誰もいないはずの明かりが付いているのを見つける。
あそこか、と足を進めば男女の会話が薄く聞こえる。
顔が見える場所まで近付くと、やはりリヴァイが考えた通り、なまえと病室であった男と2人がなにやら深刻そうに話している。
2人が惹かれるように抱きしめあった光景に、声をかけようと出かかった言葉はリヴァイの首で止まった。