06

「それで、なまえの体調は良くなって来たかい?」

ハンジはニヤニヤと頬を緩みながらリヴァイにわかりきった質問をとばす。
あきらかに面白がられてるその様子に、リヴァイは一層眉を顰めた。

「医務室に見に行けばいいだろクソメガネ」

「え〜〜?ま・い・に・ち会いに行ってるリヴァイの方がなまえの事分かるだろう?」

分かりやすく強調してくる話し方と、そのニヤけた顔にリヴァイは関わるべきではないと何も言わずに背を向けた。

「ちょっとちょっと、無視かい?!」

「うるせえ黙れ」

「黙れとはひどいなぁ。せっかく有益な情報を持って来たっていうのに」

「チッそれを早く言え」

「実は・・なまえにこれまたイケメンの面会者がさっき来るのを見たんだ。なまえの病室の番犬してるらしい君に伝えとこうかと思ってね」

ぱちりとウインク付きで伝えてくるハンジの顔は、新しいおもちゃで遊んでいる子供のようで、面白いものを見つけたと瞳が輝いている。
ハンジの思い通りに動きたくない気持ちもあるが、正直リヴァイは面会の男が気になってしょうがなかった。

「・・・・そうか」

「もちろん見に行くんでしょ?ねえねえ、なまえのこと、心配なんだよね?」

興奮したように顔を近づけてくるハンジに、「近え」とピシャリと言い放つ。

このタイミングで面会にくるという事、ハンジが知らない男という事は十中八九彼氏ができたといっていた男だろう。


リヴァイは少しの間医務室に行くかどうか考えた後、眉を顰めながら医務室へと足を進めた。

「・・」

「ふふ、少しは私に感謝してほしいな。なまえに早く元気になってねって伝えておいてくれ!」

「気が向いたらな」

ハンジの思った通り、大人しく医務室に向かっていったリヴァイのその様子に可笑しそうに笑いながら小さくなっていくその後ろ姿を見つめた。

「あれ、ハンジさん休憩中ですか?」

「ああまあね。ところでエレンそのお花、綺麗だね」

廊下ですれ違ったエレンの手には、小さなブーケが握られており、これからどこに行くかハンジは安易に想像できた。

「はい!同期の奴らから・・なまえに持っていこうと」

「そうだね可愛くて喜ぶと思う!でもごめんエレンに見てほしい次やる実験の書類があって!なまえに会いに行くのはその後でもいいかい・・?」

「えいまからですか・・?」

怪訝そうに尋ねるエレンには申し訳ないが、今の医務室に近づけるのは野暮だろう。
この借りはリヴァイにいつか返してもらおうかと、「ごめんね〜」と言いながらエレンを自分の実験室へと連れ込んでいった。








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