07
いつもは中にいるなまえが寝ていたら悪いと、静かに開けるドアもガラリと音を立てて開けた。
「っ!」
すやすやと寝むりについているなまえの手を握りしめて愛おしそうに頬を撫でていた男。
以前なまえの病室から出て来たのを見た、間違いなくそいつだった。
「あ、えと、お疲れ様ですリヴァイ兵士長殿!自分は今年から憲兵団に所属させていただきました、名前は、」
「ああ、いい。なおれ、休暇中だろう」
「はっ!ありがとうございます」
もう二度と会いたくない男の名前なんて聞きたくもなく、リヴァイは無意識に自己紹介を遮って辞めさせた。
まさかリヴァイと会うことを想像していなかったのだろう、わたわたと慌てながらも敬礼する男に、リヴァイは一瞥し座らせた。
「お前はなまえのなんだ」
まさか調査兵団の兵士長からそんな質問をされるとは思ってもいなかったのだろう、その男はぽかんと口を開け驚いたあと、なまえの記憶が亡くなっていることを思い出したのだろう、苦しそうに顔を歪めた。
「数日前に告白してOKをいただいていて、ですが彼女は俺の事すらなにも覚えていないようで・・」
切なさからか、なまえの手のひらを握りしめたその様子に、リヴァイは瞳をぎらりと細めた。
「そうか、迷惑かけたな。俺の女が」
「は、?」
「あの時は俺が構ってやれず喧嘩していた。そこに偶然出会ったお前で寂しさを埋めたかったんだろうな、」
「ちょ、っと待って下さいリヴァイ兵士長!」
「なんだ。・・こいつは元々俺のだ。一度期待させちまったようで申し訳ねえが諦めろ」
突然の出来事に勢いよく立ち上がり声を荒げる男を、リヴァイはその鋭い目で見つめた。
「そんな事、ありえません。俺はしっかり告白を・・」
「悪いが無かったことにしろ、なまえには俺から説明しとく」
さっきまではリヴァイに対して緊張していた様子だったが、自分の彼女に本当は男がいたと聞かされれば誰だって平然ではいられないだろう。
「冗談、・・ですよね?」
「ああ?おれが冗談を言うような男に見えるのか?本来ならお前を消してやりてえ所だが、今回は言葉足らずだった俺が悪い。・・・・だが二度目は無い」
「いや、あの・・、」
「二度となまえに近づくんじゃねぇ」そういってその男の襟元を掴み顔を近づければ、たちまち顔は青白く染まっていく。
「す、すみませんでした!!」
バタバタと足音を響かせながら早々に逃げていく男の背中は情けなく、リヴァイは小さく鼻で笑った。