08
「・・?・・おはようございます、リヴァイへいちょう」
「起きたか」
寝ぼけて目が細いなまえに、リヴァイはふ、と鼻で笑い愛おしそうに頬へと右手を添えた。
「!?」
「顔色が良くなったな」
するりと撫でるリヴァイの手に、なまえの顔はりんごのように赤く染まる。
「ぅえ、あの、!」
「なんだ」と、何事もないかのように眉ひとつ動かさないリヴァイにますます混乱した。
こんな、優しげに触れてくるリヴァイなんてなまえは知らない。
いつもどんなアピールをしても淡々とした姿しか知らない。
「あの・・、とても嬉しいんですけど、困ります・・」
「・・」
「私、リヴァイ兵長に振られて憲兵団の方とお付き合いしてるんですよね?」
眠ってしまう前に面会に来ていた、“好きだ”と抱きしめてくれた男から聞いた話を、なまえは気まずそうに眉を下げて弱々しく呟いた。
「その人を好きな気持ちは・・正直覚えてないですけど。だからこそ、今の私に兵長から優しくされたら諦めきれません・・」
自分の記憶がないうちに、好きな人から振られて他の男と付き合ったと聞かされても、今のなまえはすぐには受け止めきれなかった。
「だから、」
「振ってねえ」
なまえからの続く言葉すら遮り、リヴァイはぴしゃりと言い放った。
「お前が勝手に勘違いして他の男にホイホイついてったんだろうが」
「?あ、あの?ちょっと全くよくわからないです」
「・・チッ」
告白すらされてないのに勝手に諦めて他の男と付き合ったなまえを思い出し、リヴァイは舌打ちをこぼした。
「とにかく俺は一回もお前のことを振ってねえ」
話の内容が理解できないなまえは、「ん?」と眉を顰め小さく首を傾げた。
「じゃ、じゃあ・・・・さっき言ってた人の話は」
「俺がお前を受け入れているのにお前が断る理由なんてあるのか」
「?!な、ないです」
あんなに追いかけていたリヴァイを断る理由なんて考えられないと、ブンブンと首を横に振った。
「そうゆう事だ」
不機嫌そうに伝えるリヴァイに、なまえは驚きのあまり声が出なかった。
記憶が飛んでいると医者に言われ、知らない男からリヴァイを忘れる為に付き合っていたと言われ、頭がパンクしたかのように眠りについた。すると次はリヴァイから振ってないと真逆のことを言われれば、記憶がない自分を恨むことしかできなかった。
「あ、あの、恐れ多いことを聞きますが・・私たち、その付き合ってたり、・・?」
「そうかもな」
おそるおそる、期待を込めて小さな声で伝えるなまえにリヴァイは平然と答えれば、なまえの驚いた声が医務室に響き渡った。
「え、っ?!?」