09
包帯も全て取れ記憶が戻っていないこと意外、身体は元気になった。
徐々に訓練にも参加が許され、今は食堂の手伝いでジャガイモの皮剥きを黙々としていれば、「よお」と片手をあげながらエレンが手伝いに来てくれたのだろう。
「おつかれ〜手伝いに来てくれたんだ」
「おい、俺は怒ってるぞなまえ」
珍しくムスッとした顔を見せてきたエレンになまえは「なに?」とへらりと笑った。
「なんで兵長と付き合ってるって俺にも隠してたんだよ、あんなに相談のってやったのに」
あれから、リヴァイ兵士長と新兵が付き合っていると噂は瞬く間に広がった。
それはそうだ、片方は調査兵団で知らぬ者はいない相手。
そしてなまえがリヴァイの追っかけをしていたことを知っている人は、驚かれながらもお祝いの言葉を貰った。
「いや、もう本当ごめんだけど・・。そこらへんは私にもさっぱりだよ・・。今でさえ兵長となんてまったく実感湧いてないし」
「しかも憲兵の男となんて嘘もなんだったんだあれ!お前知り合いいなかったろ」
ぶつぶつと文句を言いながら、なまえの隣に座りしっかりとジャガイモを向いていくエレンになまえは結局優しいんだよなとくすりと笑った。
「いや、知り合いはいたみたい」
「はあ?」
「お見舞い来てくれた男の人いたんだよね。しかもその人私と付き合ってたとかなんとか言ってて」
「はあ?!」
エレンの大きい瞳がさらに開かれ、なまえを見つめた。
「私もパニックなんだけど」
「いや、それ、お前・・。記憶無くす前日にお前も付き合ってるって言ってたから本当だったんじゃねえか?」
「やっぱりそうだよね?優しそうだったし、泣いてたから嘘には思えなくて・・」
あの時の病室が今でも思い出せる。よかった、と涙を流しながら抱きしめてくれた男性。
考えれば考えるほど、なまえとエレンの皮剥きは速度が落ちていった。
「じゃあ俺と話した後、リヴァイ兵長と2人になった時に告って付き合ったのか?」
「え、 !彼氏いたのに兵長に告白したのかなわたし!?」
「お前・・まじ最低だぞ」
じろりと蔑むような視線に、慌ててなまえは首を振った。
「まって流石にそんなこと・・いや、それしかしっくりこないけど・・」
「見損なったぞなまえ」
「やだやめて、絶対ちがうから!」