なまえと船の前で待ち合わせし、先に酒場に行っていた仲間と合流すれば、たちまち歓迎の声と笑い声が響き渡る。
船の上での宴では、他の男の所へ行かないようにシャンクスは必ずなまえの隣に居座るが、なまえは社交性が高く、島の人達におすすめの場所や食べ物などを聞いて話すのを好んでいる。そんななまえの思いを分かっているからこそ、酒場での飲みではやれ隣に座れだの、他の男に酒をつぐな、もう飲むななどシャンクスが耐えられる限りは控えている。
今日もカウンターでマスターと楽しそうに話している華奢な後ろ姿を愛おしそうにシャンクスは見つめながら、昨日と今日と香るなまえの男の匂いでどうしてもモヤモヤとするこの気持ちを近くに座っているベックとヤソップに吐き出した。
「なまえが浮気ィ?」
「それはありえねェだろお頭ァ!!」
だっはっは!!と手を叩きながら大爆笑するヤソップに、シャンクスは不貞腐れたように酒をあおった。
「俺も最初はありえねぇと思ったさ」
ヤソップの隣にいるベックも、まさか喧嘩もしたこと無ければ毎日のようにいちゃいちゃと過ごしている2人に限って‥と考えるがシャンクスの見たことないような落ち込みっぷりに、まるでオモチャを見つけたように、にやりと笑った。
「確かに今日なまえからお頭とは違う男の香りがしたな」
「やっぱりそうだよな‥、実は昨日の夜も今日とは違う男みてぇな匂いつけてたんだよ」
ベックの言葉でシャンクスはより落ち込む素振りに、ヤソップは物珍しそうに眉毛を上げた。
「おいおいまじかよ!一晩で飽きたらず2人の男と遊んでんのか。なまえもやるなァ」
まさか最悪な展開を想像してしまうシャンクスは、最近の自分が何か悪いことをしたかどうか頭を働かせた。
「どうしても船の奴らにアイツの声を聞かせたくなくて我慢してたんだが‥それがなまえには物足りなく感じさせたのか‥?」
頭を抱え込むシャンクスは、まるで四皇で大頭といった貫禄はもはや無く、女に振り回されているただの男だ。そんなシャンクスにベックは面白そうに「そうかもしれねェな」と煙草を灰皿に押し付けた。
「そんな落ち込んでねェで本人に直接聞いてみたらいいんじゃねェか?」
そうしてヤソップはなまえを探す素振りを見せるので、シャンクスは制止するように首を横に振った。
「やめてくれ。それを受け止める気持ちはまだ出来てねェし、もし本当なら俺は相手の男を殺しちまう」
決してふざけてではなく真剣なその眼差しに、ヤソップは再び楽しそうに声を上げた。
「だっはっは!まさかあのお頭が1人の女に入れ込むとはなァ」
まあ飲め飲め、と新しい酒瓶をシャンクスの前へと置けば、すぐにその瓶は空になった。