まだ集合時間より前の頃。
ペトラ、オルオの2人が一番乗りだったようで、まだ他に誰かいないか、ペトラは辺りを見回した。
「そういえばさっきのやつ、ペトラの気のせいだろ?」
「だから...ほんとに全然違うんだって言ってるでしょ!」
「よそよそしくなったっつったら喧嘩でもしたんじゃねぇの?」
「そういうことじゃないの。...オルオがそんなこと気付くと思ったのが間違いだったわ」
そうかよ、とまるで興味が無いかのように首を傾げるオルオにペトラはぴくりと青筋をたてた。
2人のやり取りの最中、続いて集まったのはエルドだ。オルオを睨んでいるペトラの肩に、エルドは手を置いた。
「よお、2人とも早いな」
「エルド!ねえ、エルドは思わなかった?最近兵長となまえの距離、なんか変わったような気がするんだけど」
「.......兵長となまえかあ、確かに最近俺も何回か思ったな」
ペトラに言われエルドが思い出したのは、先日のリヴァイとのやりとりだろう。
なまえの想っている気持ちはもはや自分達には昔から筒抜けであったが、それでもあくまでも密かにだ。見つめることはあっても積極的に話しかけに行くことはなく、2人がよく話すなんて事は無かった。
そのはずが、最近リヴァイの口からなまえの名前を聞くことが多くなった。
なまえの場所を聞かれる事なんてざらにあり、昔のリヴァイに比べると明らかになまえを気にかけていた。
「やっぱりそうだよね!?」
「なんだよ、エルドお前まで思ってたのかよ」
「ああ、まあな。逆にオルオが思ってなかったのが意外だよ」
「お、グンタ」、オルオがそう言った先には右手を上げ、よお、と言ったグンタが目に入る。
「お前ら早いな、ちなみに兵長の事は俺も思ってたぞ」
グンタが来たことにより、当事者2人以外のリヴァイ班の全員が揃った。
ペトラを筆頭にこんな場面を見た、こんなことがあった、と話は膨らむが一方だ。
「そういえば、些細な事だけど兵長がなまえの居場所をよく聞くようになったな」
「あ、私もこの前なまえを探してる兵長見たわ」
「はあ?それだけで兵長のお気に入りになれるなら俺の方が上だな」
「あんたはもう喋らなくていいわ」
ぴしゃりと言い放つペトラに、オルオはふざけんな!と声を上げた。