03

とにかくなまえを紹介しよう、入って来たばっかりの若い奴等は何処ぞの女が入って来たかと驚いちまうかもしれない、とお披露目という名の宴が開かれたのはあれから数時間後だった。

確かにこの世界の私は12年後、つまり32歳だ。シャンクスやベックの反応を見てあまり外見は変わらない様な感じもするが、若い女がいない赤髪海賊団の皆にとって、昔の私、というか今の私はなんだこの若い女?!となりかねない。
なので、絶対宴が開きたいだけだよね、と言う気持ちはごくりと飲み込んだ。

「「乾杯〜ッ!」」

と野太い声をあげて楽しそうにグラスをかかげる船員になまえは場にそぐわないため息をつきたくなった。

「いやァ確かに昔のなまえだなァ!!見れば見るほど幼いし若い」

「ヤソップこそなにその髪型・・イカつくなりすぎ」

「ん?イカすだろ?」

ニッと笑うその顔は同じなのに、やはりなまえの知るヤソップではない。
この船の全員がそうだ。全く変わらないものもいれば大きく変わった者もいる。髪型が長くなったり短くなったり、色が変わったり、もはや全員なまえにとっては知らない人も同然だ。

そんな皆に警戒こそしないが、緊張からか自然と隣に座るシャンクスへ頼るように距離が近くなるのは必然的だ。

そしてそのなまえの行動に、シャンクスは優越感からか嬉しそうに頬を緩めた。

「ねえ、私達って今も本当に付き合ってるの?」と密かに気になっていた事を口に、ちらりとシャンクスを見つめた。
昨日抱いたとは聞いたが、シャンクスのその人たらし具合に、付き合ったばかりのなまえは長く続くこと自体あまり期待はしていなかった。

「当たり前だろ。俺が何年かけて落とした女だと思ってる」

「えッ!・・なにそれ初耳」

「ん?言わなかったっか?」

当然だろと言わんばかりの言い方と、思いもよらぬ事を聞けたなまえは嬉しそうにはにかんだ。

「シャンクス全然愛の言葉言ってくれないんだもん」

「そりゃ悪かったな。お前の彼氏はまだガキってことだ」

「絶対別れてると思った」

そう拗ねたフリをしたなまえに、シャンクスはぽん、と手を頭に乗せ「俺がこんな可愛いなまえを離すわけないだろ」、となまえの反応を見れるように覗き込みながら不敵に笑った。

「ッ!・・からかってるでしょっ」

「どうだかな」

自分の言葉に赤くなりながら表情を変えるなまえに、シャンクスは心底楽しそうに口角を上げた。