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ズキリ。

右足に鈍い疼きが走り、一瞬心臓に電流が走ったようだった。

自分はどうも怪我が多すぎる、キツイ訓練の中、精神的にくる人や大怪我をおってしまう人は少なくない。
その人たちと比べればなまえは派手に転んだ、くじいてしまった、と大したことない傷だが、地味に痛いものばかりだ。

今回は、見事に足を捻ったのだ。立体機動の着地に失敗して。

「う、...痛い...」

ズキズキと痛む足を抑えてその場でしゃがみこめば、どうやら同着していたらしいジャンの少し慌てている顔が視界に入った。

「おい大丈夫か?...ったく、何してんだよ」

「だいじょば、ない」

なまえを気遣うように声をかけたが、とうの本人は痛さに耐えているようで辛そうな返事がくる。

「とりあえず端の方に移動するぞ。ここじゃ他の奴らも帰ってきちまう」

「んー...」

「立てるか?」と珍しく優しい声をしたジャンに甘えて、差し出してくれた手をとった。

「ありがとう」

グッと力を込めてなまえを立たせた後に、そのままジャンはなまえの右腕を自分の首へと回した。

「...危なっかしいやつだなほんとに」

「めんぼくない....ありがとうジャン...」

「おー、」

「ジャンいなかったら動けなかったかも」

「おまえ、結構派手にやったな?」

どうも右足が使えないとは歩きずらい。
自分よりずっと高いジャンの肩をつい強くにぎってしまうが、ジャンは顔を変えずになまえの首に回されている手を握った。

「ジャンってさー...立体機動すごい上手いよね」

「おお、ようやく分かったのか」

「...........いや、その通りなんだけどさ...」

「なんだよ、お前がいったんだろ?」

謙遜もしないジャンはいっそ清々しいが、自分がその立体機動によって怪我したことによりほんの少しだけ悔しい。

「おい、そこ座れるか」

「うん」

ジャンが顎で指したその先に、こくりと頷いて訓練に邪魔にならなそうな端っこの冷たい土の上へと腰を下ろした。
医務室にはこれ以上あまりお世話になりたくないので、行く前に自分で見ようと、圧迫感の強い靴を脱ぐ。
ズボンを膝までまくって、患部を見てみれば少しだけ赤く腫れていた。

痛々しいその足に、ジャンは眉を顰めた。

「うわ、結構赤くなっちまってるな」

そう言ってジャンはなまえの足首に手を伸ばした。


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