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「おい、触んなよ」
いつの間にか来ていたエレンは、なまえの足首にあと少しだというジャンの手首を思いきり掴んだ。
突然のエレンの登場と、ジャンは掴まれた手に驚いたようだ。
「エ、エレン...!」
顔を強ばらせているエレンに、ジャンは負けじとギロりと目を光らせた。
「.....なんで死に急ぎ野郎がこんなとこにいるんだよ」
「俺がいちゃ悪いのか?...ジャン、お前はさっきマルコが探してたから早く行ってやれよ。なまえは俺が見るから」
「はあ?」
納得行かないような顔をしたジャンだが、エレンはそれを気にもとめずしゃがみこみ、なまえの足に手をかけた。
盛大な舌打ちをしたジャンは、踵を返していった。その後ろ姿に慌ててなまえはお礼の言葉を叫べば、少し経ったあとに、ひらりとジャンの右手は上げられた。
「大丈夫か?」
「う、うん...ありがとうエレン」
物置小屋の次の日で、なまえにとっては気まずいが、エレンはそんなこと微塵も思っていないらしい。
エレンは眉をひそめて患部を見ていたが、少し体を止まらせて小さな声を零した。
「白いな...なまえの足、」
「な、っ、!」
意識している時にそんな事を言われれば、思わず足は引っ込めてしまいそうになった。そんななまえの足をエレンは、「おい!」と慌てて捕まえるが、なまえの内心は穏やかではなかった。
「何やってんだよ」
「...エレンが変な事言うから、!!」
「別に本当のこと言っただけだろ。...それより、とりあえず医務室行っとこうぜ、悪化したらお前も嫌だろ」
「.......うん、」
先に立ち上がったエレンは、右手を差し出した。なまえはその手を疑いなく掴んだが、一向に引っ張られる気配はなかった。
傍から見ればしゃがんでいるなまえと、立っているエレンが手を繋いでいるだけになってしまっている。
「...?エレン?」
「...」
繋がれた手に引き寄せられるように、エレンは腰を曲げて、なまえの唇へと口付けた。
「っ、!!」
ゆっくりと去っていくエレンの顔に、なまえは顔を赤くさせ、思わず体が石のようにピシリと固まった。
そんななまえとは対照的にエレンはけろりしていて、そのまま腕の力を込めた。
「ほら、立てるか?」
「な、ちょ..っ!なにして!」
何事も無かったかのようにエレンは、なまえを引っ張りあげるようにして立たせる。
その反動にグラりと揺れたなまえの体を支えるように、腰に回された手がなまえにはどうも熱く感じた。