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がらんとした医務室には、いつもいる先生はいなくて、ただエレンとなまえの呼吸だけが響くようだった。

真っ白なベットに音を立てて座ると、エレンは、「とりあえず冷やした方がいいか」と袋を探している。

「ごめん、ありがとう」

「おー」

先程のエレンの行動になまえはドキドキと心臓を鳴らしているのにも関わらず、エレンはあっけらかんとした表情で黙々と準備をした。

なんでそんな何もなさそうにできるのよ、と言ってやりたい気持ちも山々だが、また押されてしまったら何も言えない。どうも押しに弱いみたいだと最近自覚すらしてきた。


ガラガラと氷のぶつかる音と、水の流れる音を聞きながら、黙々と準備をしてくれているエレンの背中を見つめた。

大きな目に、少し可愛い顔をしたエレンだが、体付きは筋肉がつきそれこそ大人のようにがっしりしている。

することも無く、ぼんやりとエレンの背中を見つめていれば、用意が終わり振り返ったエレンとしっかりと目が合ってしまった。

「ほら、ちゃんと当てとけよ」

「...ありがとう」

ぽたりと水滴が少しだけ滴り落ちているその氷の袋をエレンから受け取る。
ベットに深く腰掛けて、右膝を立てて、足をベットの上へと持ってきてから氷をあてた。
ひんやりと冷たさが足首から体に広がっていくような感覚に、思わずぶるりと体をふるわせた。

「よく怪我するよななまえ、...気をつけろよ、ほんとに」

「うん、...。みんなにもいつも心配してもらってるし、このままじゃダメだよね」

「...別に俺はダメだとは思わねェよ。そのなまえを好きになったんだから」

「!」

口説きにきているというか、さらりと伝えられたその言葉になまえの頬はみるみるうちに真っ赤に染まっていく。
そんななまえに気付かず、エレンは「これ、結構痛そうだな」なんて呑気に患部を見ている。

ああ、もうとなまえは大きい瞳でエレンをきっと睨んだ。


「...っ!!...エレンって恥ずかしがったりしないの?もう、ほんと...やめてよ!」

一瞬で赤く染まったなまえの顔は、しばらく白く戻らないだろう。
ストレートに愛を伝えてくるエレンに戸惑うなまえとは違い、疑問を投げかけてもエレンはキョトンとするだけだった。

「何がダメなんだよ」

「だめなもんはだめなの!」

「別に思ってること伝えてるだけだろ」

そんなエレンになまえは諦めたように、少し赤い頬を隠そうと下を俯いた。

「つ、たえないでよ‥」

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