- 06 -
「なまえ起きてよ〜〜!」
「んーー」
まだ話したりないであろうミーナは私の足を叩いたり摩る。
ミーナの枕でぽふぽふと優しい攻撃が背中や足にされるが、まったく効果はない。
そんな攻撃を感じながら枕に顔を埋め、重い瞼を閉じればふと先程のエレンが頭に浮かんだ。
何かに怒っているようだったが、あの後大丈夫だっただろうか。怒号は聞こえなかったから喧嘩したわけじゃなさそうだし、と色々な仮定が頭をよぎる。
まあ関係ないか、とほんの少し痛む二の腕をさすっていれば、ふと、昼間のエレンの笑顔が頭をよぎった。
「!」
いやいや、まさか。そのまま思い付いたことを頭から消そうとなまえは少しだけブルブルと頭を降った。
「?なにどうしたのなまえ」
「............なんでもなーい」
「うそ!なんか思ったんでしょ。ねえ、どっちなの!...私はエレンなかなか推してるよ。だってこの前の雪山訓練のなまえのピンチの時なんかすぐに駆けつけちゃってさ」
数日前の訓練の様子を思い出したように話すミーナは、エレンを王子様かなにか勘違いしているのか、うっとりとした表情でなまえに熱く語った。
「だーかーら!エレンは私じゃなくても、誰だろうと助けましたー!」
「違うよ、あの時のエレンの焦りっぷりったらすごかったんだからね!」
なまえが帰ってねえと必死に探して、誰の声も響いていなかったエレンはまるで恋人を探しているようだった。
「ミカサやアルミンだった方が焦ったはずだし」
「もう!認めないんだから!」
もとはといえばミーナがこんなに恋愛を押してくるから、エレンのことを意識しまっているだけだ。そう考えてなまえはもう一度瞼をきつく閉じた。
「認めないのはミーナもでしょ!」
「いや、でもジャンもなかなか捨てがたいよね...!仲のいい2人から始まるってのも王道な気がする!」
「ジャンなんて1番ありえないんだけど!」
「あーあ、そんな事言ってかわいそうに」
なまえに言っているのか、はたまた独り言なのか、熱く語っているミーナはきっと誰も止められないだろう。
変に噂されているエレンやジャンの方が可哀想なのでは、と2人を擁護したい気持ちもあるが今はどうしても睡眠に負けてしまう。
ああ、もうなんでもいいかな。
ミーナのマシンガントークを耳で聴きながらも薄れゆく意識には逆らえなかった。