共有する体温


「あ、雪。」




通りで寒いと思った。
首に巻いたマフラーを口元に寄せる。

それでも、なにもしていない手は寒かったから息を吹きかけて擦る。

あ、真っ赤だ。




「あんまり擦りすぎるなよ?」

「大丈夫だよ、京介。」




横から与えられる温もり。

優しく包みこむ手は、京介の僕への優しさを感じさせる。

出会ってからずっと・・・僕がバベルの不二子ちゃんの元に居る間も、その優しさは変わらなかった。




「名前の大丈夫は宛にならないからぁ・・・・、」

「・・・・京介がそれを言う?」




自然と笑みが浮かぶ。

お互いに、鼻がぶつかるくらいの距離で小さく声を漏らして笑った。




「ほら、これをあげるよ。」




京介はポケットからそれを取り出すと、僕の掌に乗せた。

手袋だ。




「一人分しかないよ?」

「片方だけ、名前は左手につけて。」

「?うん、」




京介に言われた通りに左手だけに手袋を嵌める。
京介は、僕と反対の右手に手袋をつけた。




「ほら名前、右手をかしてごらんよ。」

「はい、」




差し出された京介の手に僕の手を重ねると、京介は軽く握りしめて、そしてそのまま上着のポケットに入れた。

うん、結構暖かい。




「なるほどね!」

「名案だろう?」




京介は子供のように笑って、少しだけ繋いだ手に力を込めた。

バベルに居た頃は、こんなこと想像もしなかったのに。

幸せ。




「ふふ、」

「?何が可笑しいんだい?」

「なんでもないっ!」




言えるわけがないよ。
君と居るのが幸せ過ぎるだなんて。




「・・・・・名前、」

「?なーに?」




返事と同じに引き寄せられる腰。

呆気にとられるうちに、京介は僕との距離を0につめた。

触れるだけの、キス。




「愛してるよ、」

「〜〜〜〜〜・・・・・ぼ、僕も、あい、してる、」




恥ずかしくてマフラーに口元を埋めた。

京介は、満足そうな表情で、歩きだした。



















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あい様のリクエストでした!

ブライドヒロインと少佐の二人だと甘ったるいお話が何故か想像できない・・・。←

まぁ二人だから仕方ないのかもしれません。←

最後になりましたがリクエストありがとうございました!

これからも失った花嫁をよろしくお願いします。



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