緩やかに僕の胸に溶け込む




地面に転がりながら空に向かって手を突き上げ続ける黒の塊。

見間違いでなければあれは名前のはずだ。




「・・・・・何してるんだい?」

「見てのとーりです、しょーさ!くもをつかもうとしてます!」




全身真っ黒。

それは何も泥だらけになったせいだけじゃない。

黒い服には所々にレースがあしらわれていて、名前が動く度にひらひらと舞う。

まぁ所謂、ゴスロリだ。

僕の膝よりも少し高いくらいの身長の名前は短い足を一生懸命動かして、僕のもとへと走ってくる。




「しょーさ!」

「おっ・・・・と、」

「こんにちは、しょーさ!」




僕の足に抱き着き、真っすぐに僕に向かって笑う名前。

目線に合わせて屈んでやれば、さらに笑みを深めた。




「やぁ名前、そんなに泥だらけになったらまたコレミツに怒られるぜ?」

「コレミツは澪のだからー、名前は平気なんですぅー!」




よくわからなかった。

否定する理由もないから適当に相槌を打った。
おまけで頭を撫でるのを忘れずに。
頭を撫でれば名前はとりあえず機嫌が悪くならないから。




「それに、名前はしょーさのものだから!名前はしょーさに怒られないならそれでいーのです!」




嬉しそうに笑いながらいった名前。

とんでもない爆弾だ。
意味を理解しているんだろうか。

名前は僕の物、だなんて。
・・・・ま、結局は理解してないだろう名前は5歳だし。

でも、名前にこんな事を言われて嬉しく思わないわけがない。




「僕は君に怒ったことなんてないだろう?」

「うーん、でもしょーさは、たまにむずしい顔してどこかを見てるから、」




しょんぼりと肩を落とす名前を腕の中に閉じ込めた。

これは数年後が楽しみだな、なんて柄にもなく思った。




「しょーさ、あったたかいです、」

「うん、名前もね。」




腕の中から寝息が聞こえてくるのはそう時間がかからないだろう。




「おやすみ、名前。早く大きくおなり。」




そうして小さな額に、唇を寄せた。










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七様へ!

リクエストありがとうございました。

うーん、少佐がロリコンに。←
まあ少佐ですから!←


いつもありがとうございます。
これからも失った花嫁、
愛を求めるマリオネットを
よろしくお願いします。

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