きみがすき!1
「じゃあ、これ。全部教室まで頼むな」
そう言って私の前に置かれたノートの山(クラス全員分)。ドサッという音がその重さを物語っている。「あ、折笠。いいところに」と担任に声を掛けられてしまったのが運の尽き。こんな重いものをか弱い女の子に運ばせるなんてどうかと思うよ、先生!!
文句のひとつでも言ってやろうかと思ったけれど、担任の無駄に爽やかな笑顔に負けてしまって言うことができなかった。諦めた私はノートの山を崩さないように慎重に抱えて職員室を出る。最初は、意外と大丈夫かも!なんて思っていたけれど、すぐにそんな考えはどこかへ行ってしまった。
『に、二の腕が限界…ぷるぷるする』
どこかに一度、このノートの山を置いて休憩したいがなかなか丁度いいものが見つからない。情けないことに今の私は涙目になっているに違いない。誰か知り合いはいないかと、ノートの山の横からきょろきょろと探していると後ろの方から呼ばれた私の名前。振り返ると同時に私の前に聳え立っていたノートの山と重みが半分消えて、よく知った人物が現れた。
「折笠、大丈夫か?」
『手嶋!』
私のピンチを救ってくれたのはどうやら彼だったらしい。き、今日の手嶋もかっこいい!、と心の中で叫びながら悶え死んだ。このことを友達に言うと「華の好きなタイプが分からない」っていつも言われちゃうのが悔しい。あんなにかっこいいのにどうしてみんな分かってくれないのだろうか。
「どうしたんだ?こんなに大量のノート持って」
『職員室に用事があって行ったら、担任に捕まって頼まれちゃって』
「そういうことか。てっきり俺は、折笠がまた何かやらかしたのかと思ったよ」
『ひどい言われようで泣きたいんだけど』
「ごめんごめん。それにしてもこれを女子1人で運ぶのは無理があるだろ」
『うん。私も心からそう思っていたところだよ』
「教室までだろ?半分手伝ってやるよ」
目の前に積まれたノートの山がが更に低くなる。私の手元に残ったのはほんの数冊で、手嶋の方が明らかに持っているノートの数が多い。
『手嶋。私、もっと持てるよ』
「折笠はそれで十分。部活のときみたいに転んで更に仕事を増やされると困るから」
『うぅ、申し訳ない。手嶋っていつもクラスでもこんな感じなの?』
「ん?あー、そうだな。手伝ってる方だとは思う」
『そ、そうなんだ』
君の優しさにさえ嫉妬する
『うぅ。手嶋と同じクラスになりたかった』
「華って本当に手嶋が好きだよね。私には理解できないんだけど、」
『あ。でも、同じクラスになったら心臓がもたないかも』
「もしもし華さーん。人の話、聞いてる?」
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