きみがすき!2
『ごめんね。わざわざ家まで送ってもらっちゃって』
「別に謝ることじゃないって。こんな時間にひとりで帰って、折笠に何かあったら困るし」
そう言う手嶋はマフラーに顔を埋めていて、ちょっと可愛い。急いで家の中からデジカメを持ってきてその姿を写真に収めたい衝動に駆られたけれど今回は我慢。手元のスマホで時間を確認するともうすぐで8時30分になるところだった。せめて手嶋を見送ってから家に入ろうと思っていたのだけど、その手嶋から動く気配が感じられなくて首を傾げる。
『手嶋、帰らないの?』
「帰るよ。ちゃんと折笠を見届けたら」
『へ?』
手嶋の言葉に私は再び首を傾げる。あれ?ここって私の家だよなと不安になって表札を確認すれば、もちろんそこには折笠の文字。うん。間違えてない。表札を確認して私が戻ってくると、手嶋は肩を震わせて静かに笑っていた。
「あのな。俺の言った見届けるっていうのは折笠が家の中に入るのを、ってこと」
『なっ!?それならそうとちゃんと言ってよ』
自分の家を間違えたかと思ったじゃないか。私がぶーぶーと文句を言うと手嶋はごめんごめんと私の頭をぽんぽんと撫でる。うぅ。手嶋は私がその顔に弱いの知っててやっているのだろうか。確信犯だったらなんと恐ろしい。
「寒いからそろそろ家の中に入れ。折笠に風邪ひかれたら困るし、」
『手嶋も風邪ひかないでよ』
「わかってるよ」
鞄の中から鍵を取り出して玄関の扉を開ける。半分開けて、後ろを振り返ると手嶋はまだ同じ場所に立ってこっちを見ていた。
『手嶋!』
「どうした」
『送ってくれて本当にありがとう!また、明日ね!』
「あぁ。明日、寝坊するなよ」
『手嶋にその言葉をそのままお返しするよ』
バイバイと手を振って私は大急ぎで家の中に入る。それから2階の自分の部屋に駆け上がる。途中でママの声が聞こえた気がするけど今はそれどころではない。猪の如く飛び込んだ自分の部屋の窓を開けて手嶋の姿を探すとすぐに彼を見つけた。手嶋ー!と大きな声で呼べば彼は驚いた表情で振り返った。
『気をつけて帰ってねー!』
ぶんぶんと私が手を振ると手嶋は近所迷惑だと言わんばかりの顔をしながらも手を振り返してくれた。あぁ、もう!手嶋は私をキュン死にさせるつもりなのだろうか。手を振りかえしてくれた、ただそれだけでこんなに嬉しくなってしまう私はかなり手嶋に夢中なのかもしれない。
見えなくなるまで見送った
「さっきの男の子ってもしかして華の彼氏さん?」
『えっ!?いや、手嶋とはまだそんな関係じゃ…』
「まだってことは華の片想いなのね!頑張って!ママ、応援してるから!」
『うぅ。頑張ります』
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