きみがすき!5
『え、嘘。私ってもしかして迷子になっちゃった感じ?』

前後ろ、右左とまわりを何回も見渡しても一緒にいたはずの手嶋の姿が見当たらない。高校生にもなって手嶋の名前を大声で叫ぶ訳にも行かなくて、とりあえず私はきょろきょろと手嶋の姿を探す。1人で来たこともある場所なのに突然手嶋がいなくなっただけで、知らない場所に迷い込んでしまったような感覚に襲われるのはなぜだろう。

『手嶋。お願いだから出てよ』

泣きそうになるのを堪えながら鞄から取り出したケータイで手嶋に電話を掛けるも繋がらない。無機質な電子音が鳴り続けるだけだった。さて。どうしたらいいものか。探しに行こうかとも思うのだけど、もしかしたら手嶋と入れ違いになってしまう可能性がないとも言い切れない。こういう時、あまり動かない方がいいと何かの番組で言っていたような気がしないでもない。近くにあった椅子に座ってしばらくぼーっと考えていると、普段は無関係だからと聞こうともしていなかった館内放送がふと耳に入った。どうやら迷子のアナウンスらしく、スピーカーの向こうのお姉さんが迷子になっている子の服装の特徴を読み上げていく。

(服は、水色のストライプ柄のワンピースに黒色のカーディガンを羽織り…)

あ、私もその組み合わせ好きなんだよね。迷子のお母さんのセンス好きかもしれない。
頭の中で迷子の子供の服装を思い浮かべる。ワンピースということは女の子でいいんだよね。結婚したら女の子が欲しいな。大きくなったら一緒に買い物とかしたいな、なんて呑気なことを考えていた私の思考はとあるお姉さんの言葉によって現実に引き戻された。

(…折笠 華ちゃん。お連れ様がお探しです)

『私!?』

自分の名前が出てきたことに驚いて私は思わず叫んでしまった。それによって、ちょうど隣に座っていたおじいちゃんを驚かせてしまった。おじいちゃん、ごめんなさい!
改めて自分の服装を見る。水色のストライプ柄のワンピースに黒色のカーディガン。なんということだ。そう言えばなんだかさっきから周りの人からの視線を感じていたような気がしないでもない。それに加えて、さっきまでの考えが自画自賛しているようなものだと気がつくと更に恥ずかしくなってきた。とりあえず今は手嶋のところに行こう。私は持っていた買い物袋を抱えて顔を隠しながら手嶋の元へと急いだ。


聞こえた声に、無意識


「お。やっと来たか」
『手嶋あぁぁぁぁ。どこ行ってたの』
「いや。それ、俺の台詞だから。それにしても無事に華が見つかってよかった」
『(っ!!今、手嶋が私の名前を呼んでくれた!)ひ、っぐ。私も手嶋に会えてよがっだよぉぉ』
「はいはい。それにしても高校生にもなってその泣き方はないだろ」
『だって、手嶋の声聞いたから安心したんだもん』
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