俺だけ見てればいいんだよ
いよいよ試合が始まる。公式練習を終えて整列するためにコートに向かおうと歩き出したとき、不意に手をつかまれた。その手の持ち主が誰かなんて振り返らなくても分かる。
「つらら、どうしたの?」
『.ぃ..って』
つららが何か言ったけれど、周りの歓声によってつららの声が掻き消される。
「ごめん、もう一回言って?」
『試合、がんばって』
恥ずかしそうに目を伏せながらもう一度言ってくれた。やばい、可愛すぎる。可愛すぎるよ、この子!抱きしめたいけど、人がたくさんいるところでやるとつららが怒るんだよね。
あ、ちなみに俺らはまだ付き合っていないよ。近いうちに付き合いたいなっては俺の中で思っているけど、つららは鈍感だからなかなか俺のアピールに気がついてくれないのが現状。
『ちゃんとみんなのこと応援してるから』
「え。みんな?」
『うん。みんな』
俺のことを個人的に応援してるとかそういう感じじゃないの?というか、応援はまだ許すとしてもつららが俺以外を見るなんて絶対ダメだよ!ダメ!
「いい?つらら。つららは俺だけ見てればいいから!他のやつの応援は心の中でしてればいいから」
『そんな無茶な』
「いいから!とにかく俺を応援するって約束して!」
つららの両手を握って力説すれば、努力してみるとつららは苦笑いをしながら言ってくれた。
つららの心が誰かに奪われないように、今日も俺は必死につららの視線を独占する。
君に夢中
「つららのために、俺のかっこいいところたくさん見せてあげるからね!」
『う、うん。(でも、わたしはいつも徹くんのこと見てるつもりなんだけどな)』
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