*140字SS集(パンドラ)
『ヴィンセント誕生日おめでとう。遅くなってしまってすまない』
「これ僕にくれるの?」
『他に誰がいると言うんだ。いらないなら捨てる』
「ダメ!勝手に捨てないでよ」
『それならはやく受け取ってくれ。味の保障はしないよ』
「リズが作ってくれたの?」
『そうだ』
「いつも以上に上から目線だね」

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『こんな時間に出歩くなんて感心しないなヴィンセント』
「そっくりそのままリズに返してあげるよ。どうしてこんなところにいるのさ」
『僕はここに忘れていってしまった書類を取りに来ただけだよ』
「明日の朝はやくに取りにくるんじゃダメだったの?」
『別にそれでもよかったんだけど嫌な予感がしてね』

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『君が大人しいなんて珍しいこともあるものだ。ギルにでも振られたのかい?』
「僕だってたまには落ち込むこともあるんだよ。あと、ギルに振られてなんてないから」
『冗談だよ。そういえば、この前頼まれていた本を見つけておいたよ。今日、持って行くだろう?』
「うん。さすがリズだね。探すのが早い」

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「リズ、この本がどこにあるかしらぬか」
『...いつものところにあるのではないですか?』
「見当たらないから汝に聞いているのであろう」
『僕に尋ねるよりも自分の記憶の中を探したほうが手っ取り早いと思いますが?あぁ、そうか。外見は20代でも頭の方は年相応の成長を遂げるているのか。納得だ』

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『すまないが退いてくれヴィンセント』
「久々に会えたのにリズってば冷たいな」
『レイムに頼まれたこの書類の山を急いでブレイクのところに持って行かないといけないんだ』
「じゃあ、それが終わったら僕とお茶してくれる?」
『わかった。わかったから早く退いてくれ』
「指切りしたら退いてあげるよ」

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「ねぇ、リズ。まだ買うの?」
『もちろんだ。せっかく街中に出掛けてきたのだからね』
「ここで3軒目だよ、本屋さん」
『君が僕の買い物に付き合いたいと言ったんだろう?もう少し我慢したらどうだい?ちなみに本屋はあと5軒ほどまわる予定だ』
「5軒!?そんなに!?」
『嫌なら帰っても構わないが?』

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「ねぇリズ。僕、かなり暇なんだけど」
『僕は本を読んでいて忙しいんだ。暇なら何か本を読むか、帰ったらどうだい?』
「リズってば冷たい」
『僕がこういう性格だってことは君が1番分かっていると思っていたが?』
「分かってるけど、」
『はぁ…あと30分もあれば読み終わる。それまで待ってくれ』

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「リズってさ。ちゃんとご飯食べてる?」
『食べている。一応、』
「一応?まさか本を読むのに夢中で食べるの忘れるとかそういうパターンじゃないよね」
『そういうときもある』
「ちゃんと食べないとダメだよ。ほら、こんな感じで簡単に誘拐されちゃうよ?」
『なっ!?今すぐ僕を降ろせヴィンセント!!』

「リズってば怒ってる?」
『僕は怒ってないさ』
「いや。雰囲気が完全に怒ってるよ」
『誰のせいだと思っているんだ』
「僕のせいだね」

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『ヴィンセント、こんな時間に遊びに来るなんて感心しないな』
「でも、ちゃんと起きて待っていてくれたんだね。リズ」
『ちょうど僕も首狩りのことで少し君に聞きたいことがあったからね』
「そっか。僕にこたえられる範囲でお願いするよ」

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「リズ!お菓子くれないと悪戯するよ!」
『ヴィンセント…君、一体何歳なんだい』
「ハロウィンに歳なんて関係ないよ。ねぇ、リズ!お菓子頂戴?」
『僕は今、持っていないが、』
「(やった!リズに悪戯できる!)」
『隣の僕のお菓子部屋にお菓子があるからそこから好きなのを持って行ってくれ』

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『本は何のためにあると思う?』
「娯楽?リズの場合それはなさそうだけど」
『確かに僕の場合、娯楽として楽しむために読むってことはあまりしない』
「あまりってことは読むこともあるんだ?」
『気分転換に読む程度ってことさ』
「珍しい」
『ヴィンセント。君は僕を何だと思ってるのさ』
「リズだよ?」

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『馬鹿?』
「リズに言われると泣きたくなるんだけど」
『本当のことじゃないか。真冬にこんなところで昼寝するなんて…ヴィンセント。君は死にたいのかい?』
「死にたくはないけど、仕方ないだろ。眠くなるんだから。あ!でも、いつもリズが起こしてくれれば一瞬で、痛い!!」
『僕の通行の邪魔だ』

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「リズ」
『ん?ヴィンセントか。僕に何か用かい?』
「うん。あのね…」
『「あのね」の続きが気になるのだが』
「僕が何を言っても怒らないでね」
『あ、あぁ』
「リズのスカートの後ろが捲れてるよ」
『なっ!?馬鹿ヴィンセント!それをはやく言え!』
「痛っ。怒らないって言ったのに」

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「ねぇ。リズ」
『なんだい』
「ずっと前から思ってたんだけどそんな体勢で首、痛くないの?」
『痛くない。この方が本に集中できる』
「ふーん」
『…ヴィンセント』
「なに?」
『邪魔。重い。離れろ。本が読めない』
「リズが構ってくれないから寂しいんだけ、ぐぇっ!?」
『気持ち悪いこと言わないでくれ』

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「リズってあまりヒツジのこと使いたがらないよね」
『それが何か?』
「便利そうなのにもったいないなと思って」
『僕はヴィンセントの眠り鼠の方が便利だと思うよ』
「なんで?」
『所構わず好きなときに寝れるじゃないか』
「リズ。僕は好きで寝てるんじゃないんだよ」
『ふーん』

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「これも捨てるの?」
『あぁ。私も一通り目は通したし、バルマ公も不要だと言っていたからね』
「…ねぇ、」
『ん?』
「これ、僕が貰ってもいいかな」
『別に構わないが、』
「本当!?リズ、ありがとう。大切にするね」
『…君がその台詞を言うと気持ち悪い事この上ない』
「酷っ!」

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「リズ〜!」
『また来たのか。ヴィンセント』
「またって酷いな。何してたの?」
『ご覧の通りだよ』
「ティータイム?」
『…』
「ごめん。冗談だよ冗談。読書でしょ?」
『分かっているなら帰ってくれ。読書の邪魔だ』
「邪魔しなければここに居てもいい?」
『…勝手にしなよ』
「うん」

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『ねぇ、ヴィンセント』
「なに?」
『僕は君のことが結構好きだったよ』
「…どうしてリズはこのタイミングで言うかな」
『最期くらい素直になってもいいだろう?』
「素直になるの遅すぎ」
『それは申し訳ない』
「ねぇ。もう少し頑張ってよ」
『それは無理な相談だな』

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「リズ様、」
『レイム!』
「は、はい!!」
『屋敷に戻って今から書斎の整理だ』
「今からですか!?」
『何か問題でも?』
「い、いえ。相変わらずだなと思いまして」
『僕の人生も残りどれくらいあるか分からないからね。残っている仕事はさっさと終わらせてのんびりしたいものだな』

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『レイム。丁度いいところに来てくれたね』
「どうかしましたか?(嫌な予感)」
『紅茶が飲みたいからこの前取り寄せた紅茶を持って来てくれ。キッチンに行くついでに書庫の机の上の本たちも持って来てくれると助かる。昔の本ばかりだから丁寧に扱ってくれ』
「あの..要求はこの紙に書いて下さい!!」

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