いつか王子様が 2
「おはよう。リセ」
『お、おはようございます』
私はずっと夢を見ているんじゃないかと思っていたのだけれど、どうやら夢じゃなかったらしい。
ヴィクトルがお兄ちゃんのコーチになって、我が家に住み始めてから早数週間。イケメン王子様が居る生活になんとか慣れてきました。倒れることも、あまりの恥ずかしさに顔を赤くして逃げ出してしまうこともお陰様でなくなりました。慣れてきたとは言っても、未だに心臓発作で死にそうになることが多々あるけれど。
「今日も学校?気をつけて行ってらっしゃい」
『い、行ってきます』
靴を履いて、鞄を手に取り立ち上がる。
なんだか後ろから物凄く視線を感じるのは気のせいだろうか。
「リセ、」
『は、はい!』
不意に名前を呼ばれ、勢いよく振り返れば思ったよりも近くにある彼の顔。
やばい、恥ずかしくて死にそう。
思わずぎゅっと目を瞑るも、頭を撫でられる感覚がしてゆっくりと片目を開ける。
「はい。これでもう大丈夫だよ」
『え?』
「寝癖、ついてた」
『え、嘘!?ご、ごめんなさい』
思わず寝癖がついていたであろう場所を撫でる。
「謝らなくていいよ。俺が直してあげたくなっただけだから。それよりほら、はやく行かなくていいの?」
彼が指差す先にある時計を見れば、もうこんな時間。
『大変!行ってきます』
「行ってらっしゃい」
家を飛び出す際に後ろをちらりと振り返ればそこには笑顔で手を振る彼の姿。
あぁ、やっぱり彼の姿を見るとドキドキが止まらないや。
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