もう子どもじゃないんだからさ
『玲央ちゃん、おはよう!』
「おはよう。今日もちゃんと起きれたみたいね」

えらいでしょー?と朝から可愛らしい笑みを浮かべながら家を出てきたすみれちゃん。私と彼女は所謂幼馴染というもので、家も隣同士。幼稚園のときから高校までずっと同じところに通っていて、今でも一緒に学校に行くのが当たり前になっている。
今日も新しく出来たカフェの話をしながら歩いていると、あることに気がついた。

「今日は何もしていないのね」
『へ?』
「髪型よ!か・み・が・た!」
『うん。ちょっと今日は、やる時間がなかったから』

いつもは編み込みとかさりげなくしているのに珍しいなと思ったけど、そういうわけか。

「じゃあ、学校についたら私がやってあげるわ」

いいでしょ?と尋ねれば、すみれちゃんは嬉しそうに頷いてわたしに抱きついてきた。勢いよく抱きついてきた彼女の身体を受けとめて、すっぽりと腕の中に収まる小さな身体を抱きしめる。

「もう!子どもじゃないんだからっ」

口ではそう言うものの、本当はかなり嬉しい。お年頃になると男の子と女の子は距離を置きがちになるというが私たちは違った。すみれちゃんは普通に私に接してくれたし、私も普通にすみれちゃんに接していた。
だけど、ときどき彼女に男として見られていないのではないかと思うこともある。
でも今は、幼馴染の特権ですみれちゃんの1番近くに居れるからそれで良しとしておこうかしら。


あの子と登校


「よしっと!これでどうかしら」
『玲央ちゃん、上手!さすがだね』
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